俳優の山田孝之が10月20日に41歳の誕生日を迎えた。シリアスからコメディーまで実にたくさんの作品に出演しており、多彩なキャラクターを表現して楽しませてくれる山田。また、俳優という範疇に収まらず、声優、ナレーター、映画監督、そして映画プロデューサーとしても活躍中だ。日本のエンタメ界に欠かせない存在となっている彼の軌跡をたどる。(以下、出演作品のネタバレを含みます)
1999年、16歳のときに人気漫画をドラマ化した「サイコメトラーEIJI2」(日本テレビ系)で俳優として歩み始めた山田。同作の役柄は不良少年の一人だが、美少年ともいえるかわいらしい顔だった。
その後、朝ドラ「ちゅらさん」(2001年)でヒロインの弟を演じ、ミュージシャンとしてメジャーデビューする設定で、劇中ではギターを弾きながら甘い歌声を披露した。当時のドラマ公式インタビューによれば、撮影前から毎日毎日ギターを特訓したというだけあって見事な腕前だった。同作が2024年4月から再放送され、「歌うまい」とあらためて注目された。なお、「ちゅらさん」放送の翌年にCDデビューを果たし、ドラマ「大好き!五つ子4」(2002年、TBS系)の主題歌となって俳優として第7話にゲスト出演もしている。
そして、2002年にスタジオジブリの映画「猫の恩返し」で声優デビューした他、ドラマ「WATER BOYS」(2003年、フジテレビ系)や“セカチュー”こと「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年、TBS系)、ネット掲示板・2ちゃんねるの書き込みを基にしてドラマ化もされた映画「電車男」(2005年)などで主演して頭角を現していった。
デビューからドラマに映画にと途切れることなく出演しており、世代によって「初めて目を止めた作品は何か?」という問いには、きっとさまざまな作品が挙げられるだろう。そんな中でも、俳優初期のキャリアで大きく注目されたといえるのがドラマ「百夜行」(2006年、TBS系)だ。「世界の中心で、愛をさけぶ」の綾瀬はるかと再び共演し、残酷な運命に生きる少年と少女の14年にわたる愛を体現。多くの視聴者が心を揺さぶられ、涙で頬を濡らすほどにその世界に入り込めたのは、彼の高い演技力があったからでもある。
ここまで青春真っただ中のきらめきや、悲恋を含むラブストーリーを丁寧に表現してきた山田だが、2007年の映画「クローズZERO」で見た目の印象をガラリと変えた。高橋ヒロシの人気コミックを原案に三池崇史監督が映像化した同作は、不良ばかりが集まる男子高校を舞台に前人未踏の校内制覇を目指す壮絶なバトルが繰り広げられる。いわば山田にとって初の悪役で、小栗旬が演じる主人公と対立する軍団のトップ。身長184cmの小栗に対して169cmの山田は少しだけ見下ろされる感があるけれど、無精ひげを蓄え、鍛え抜かれた肉体の持ち主というトップならではの圧倒的存在感を放った。そこに山田の高い演技力で、ただ怖い奴というのではなく、仲間思いの格好良さをしっかりと見せてキャラクターの魅力を高めた。
美少年から、いつしか無精ひげが似合うワイルドな風体へ。実はそのヒゲについて、2021年に出演したバラエティー番組で、15歳のころなどに女の子と間違われることもあったのがコンプレックスで「男らしくなりたいと思って。けがしたところや、やけどしたところは毛が異常に生えるじゃないですか。ずっと(頬を)たたいていたんです。そしたら生えてきたんです」という逸話を披露している。そんな努力(?)もあって生まれたワイルドさは、TBS系でのドラマ化と映画化もされた「闇金ウシジマくん」シリーズの主人公で、冷酷無比な闇金会社社長役でも生かされている。
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