コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、猿渡かざみさんの小説『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』を原作としたコミックで、現在マンガワンで連載中の作品『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い@comic』(原作:猿渡かざみ、キャラクター原案:Aちき、漫画:鉄山かや)より第1話をピックアップ。
原作の猿渡かざみさんが2024年10月10日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、猿渡かざみさんにインタビューを行い、創作のきっかけなど作品へのこだわりについて語ってもらった。
主人公・押尾颯太(おしお そうた)の同級生・佐藤こはるは、別名“塩対応の佐藤さん”と呼ばれている。その理由は、容姿端麗な彼女が多くの老若男女に分け隔てなく塩対応しているからだった。
そんな佐藤さんがある日、颯太の自宅が営んでいるカフェに一人でやってくる。真剣にパンケーキの写真を撮っている彼女に、数人の男性が声をかけるが、いつもと変わらず塩対応する佐藤さん。それでもしつこく声をかける男性たちから佐藤さんを助けるため、颯太は店主である父を店頭に呼び出す。颯太の父は強面で、それを見た男性陣は驚き逃げていくのだった。
男性たちが去った後、佐藤さんは怖かったと泣きながら颯太に抱きつく。颯太はあの“塩対応の佐藤さん”が泣いているとびっくりし、佐藤さんが落ち着くよう部屋に招き紅茶をごちそうする。カフェで真剣に何をやっていたのかを聞くと、映える写真を撮りたいのだと説明する佐藤さん。しかし、見せてもらった彼女の写真フォルダには映りがひどい写真ばかりだった。
颯太がなぜ映える写真を撮りたいのかを聞くと、ミンスタグラマーになって友達が欲しいからだと説明する佐藤さん。撮影のセンスが壊滅的な佐藤さんに、颯太はその場で紅茶の写真を撮ってみせる。そして、自分もミンスタでカフェの宣伝アカウントの写真を撮っているのだと話す。カフェのアカウントのフォロワーが5,000を超えているのを見た佐藤さんは、颯太に尊敬のまなざしを向けるのだった。
話の流れで写真の撮り方を教える颯太は、改めて佐藤さんが美少女でああることに気づく。そして、カフェに団体さんが来たことをきっかけに、佐藤さんは帰って行く。颯太は初恋の人である佐藤さんと二人きりで部屋にいたことに興奮していた一方、佐藤さんの初恋の人も実は颯太であり、彼女もまた興奮していたのだった…。
作品を読んだ読者からは、「キュンキュンした」「激甘すぎて……イイ」「甘すぎて砂糖出るわ」など、反響の声が多く寄せられている。
――『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
当時、少女漫画にハマっていたんです。漫画は小さい頃から好きでしたが、少女漫画というジャンルに対してなんとなく苦手意識があって、真剣に読んだのは社会人になってからだったんですね。
これが当時の自分にとってはすごく新鮮な読書体験で、こんなに面白いものは誰かに勧めないといけない!って思ったんです。
でも、ぼくと同じように少女漫画というジャンルに対して苦手意識を持っている男性は多いので、どうしたもんかと考えた時に「男性向けにパッケージングされた少女漫画をやろう」と思い至ったんです。
それがこの『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』を書き始めたきっかけです。
――今作を執筆するうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
とにかく「特別なことはやらない」ということです。
特殊な設定も特殊な能力も特殊な世界観もない、ただ少しだけ自分に自信のない、ごくありふれた普通の男女が普通に恋愛をする……それそのものが特別なのだということを伝えたかったのです。
初めて恋愛ジャンルを読む人でも楽しめて、なおかついいなと思えるものを書くために逆に自分にたくさんの縛りを課しています。
こういうものは書いちゃダメ、とか、こういう展開はやっちゃダメ、とか……さすがに連載が続くにつれてそのへんの縛りが自分の中でゆるくなりつつありますけど……。
あと男女両方の視点を入れることは特にこだわりです。
恋愛って片側の視点から見るとどうしても相手が何を考えているか分からなくて怖いものだったりしますが、遠くから俯瞰してみると結構コミカルだよね、というところを伝えたくて。
――コミカライズされた今作をご覧になって、特に気に入っているシーンがあれば、理由と共にお教えください。
単行本一巻p.155『バカだ。私は本当にバカだ。』の一枚絵ですね。
説明不要。すごくないですかこれ? 絵力はもちろん、めちゃくちゃ少女漫画っぽくないですか?
ここを初めて見た時に「ああ、鉄山先生が『塩対応の佐藤さん』のコミカライズをやってくれて本当によかったなぁ」としみじみ思いました。
――Xの投稿にも「甘酸っぱい」「超高カロリーの激甘成分が摂取できる」など多くの反響がありました。こういった反響の中で特に印象に残っているコメントなどはありましたか?
皆さんこういう大喜利もっとやっていいですよ、面白いので。ぼくも楽しく読ませてもらっています。
でもやっぱり、シンプルに「こういう恋愛してみたい」みたいなコメントが一番嬉しいですね。届けたい人たちにしっかり作品が届いた、という感じがします。
この作品がそういう人たちの背中を少しでも押す助けになれば、これ以上に嬉しいことはないです。
――猿渡かざみさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
作品としては、もっと多くの人に知ってもらいたい! の一言に尽きますね。
そのためにも色々と準備しておりますので、乞うご期待!
あとは……なんだろう、コラボカフェとかやりたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも『塩対応の佐藤さん』を応援してくださる読者の皆さま、もしくは初めて『塩対応の佐藤さん』を読む皆さま、本当にありがとうございます。
皆さまの応援のおかげで、ぼくは今もこのシリーズを書き続けることができております。この作品が、皆さまの「恋愛ってよくね?」の入り口となることを切に願っております。
コミック版『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い@comic』も、原作の『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』も、どちらもまだまだ連載・刊行は続きますので、なにとぞよろしくお願いいたします。
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