江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』が原作の本作では、明智と千賀子の悲恋が描かれる。これまでも明智とヒロインの美女とのロマンスが描かれることはあったものの、いっときの気の迷いであったり、結局は美女が明智の気持ちを弄んでいる場合がほとんどで、物語の軸になることはなかった。
一方、本作では明智と千賀子は互いに惹かれ、想い合いながらも、最後は守るべきもののため辛い選択をする…といった、紆余曲折が丁寧に描かれる。これまでとは異なり、情緒たっぷりの2人の出会いから哀愁漂う結末までが事件と並行して紡がれ、物語にいっそうの深みをもたらしている。
他にも、一癖も二癖もある個性的な宿泊客たちや、夜な夜な屋根裏を徘徊し人々の秘密を盗み見る不気味な影、万喜子を殺害した犯人の正体、そして日時計館に隠された大きな秘密など、見どころ満載。さまざまな要素が絡み合いながらもクライマックスへと収束していく展開は、見ごたえたっぷりだ。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)