「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」が12月20日(金)に劇場公開される。この映画公開を記念して、子どもたちが夢中になるのはもちろん、今の私たち大人が観ても十二分に楽しめるこれまでの「忍たま乱太郎」劇場版アニメ過去2作を振り返ってみよう。
尼子騒兵衛の「落第忍者乱太郎」を原作にした、忍者のたまご略して「忍たま」たちが、八方斎率いる極悪非道な組織に戦いを挑んでいく時代活劇アニメが「忍たま乱太郎」だ。長年続くテレビアニメと、劇場版2作が公開されている。そして、12月に新作「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」が公開されるなど、長きにわたり愛され続けている作品だ。
劇場版アニメ「忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段」のエンディングテーマ・NYC「ユメタマゴ」では、「あたたかい気持ち」「育てる」「大きくなる」といったキーワードを印象的に歌い上げている。この歌詞の一節のように私たちは「忍たま乱太郎」からいつもあたたかい気持ちをもらい、大きくそだった。学校が終わったあとに観る毎日10分のアニメ。だが、その10分に毎回笑いとあたたかさが詰まっていた。
学校でどんなことがあっても、家に帰って「忍たま乱太郎」を観れば自然とケラケラ笑えて、観終わったあとにはなんとなく明日も頑張れそうという前向きな気持ちになれる。私たちにとって知らず知らずのうちに生活の一部となり、元気の源にもなっていた。
1996年公開の第一回劇場版。 忍術学園の夏休み、学園長に頼まれて輸入した硝石を運ぶのを手伝っていたしんべヱと団蔵は、道中、極悪非道の稗田八方斎の攻撃を受け、硝石を盗まれてしまう。八方斎の後を追った団蔵をさらわれたと勘違いしたしんべヱは、忍術学園一年は組の仲間とともに八方斎の潜むドクタケの出城へと向かった。
乱太郎、きり丸、しんべヱの三人組は、そこで八方斎が硝石を火薬として使うのではなく、中国の秘薬・軽身剤の材料に使うことを知る。軽身剤とは飲めば空を自在に飛ぶことができるという幻の薬で、もしそれが八方斎の手に落ちたら、日本はおろか、世界が彼らの支配下におかれることになってしまう…。
まず観終わって真っ先に思ったのは「今から約30年前とは思えない…」、この一言だ。話の面白さとテンポ感は言うまでもなく、単純に絵も古くないから観やすい。基本的には47分間ずっと“笑い”が詰め込まれていて、笑わずにはいられない。大人になってみると、こんな細かなボケまであったのか…と驚いてしまうほど、手数がとにかく多い(たとえば、三段オチからの同じボケを3回繰り返すなど)。
だが、ただのギャグ漫画のようにストーリーが薄いわけではない。起承転結がかなりハッキリ描かれており、伏線回収もしっかりしている。また乱太郎、きり丸、しんべヱたちの冒険記にもなっていた。
そして何より誰も傷付けない。「忍たま」すべてに通じるが、忍者であるのに使う技は基本的に相手を傷つけるものではなく、眠らせたり、落とし穴だったり、(山田先生の女装で)怯えさせたりするもので、実に平和だ。
だからこそ、子どもも大人も皆安心して温かい気持ちで観られる。「映画 忍たま乱太郎」は、そんな「忍たま」らしい笑いと優しさが詰まった(主に笑いが9割で実にポップな)一作目にふさわしい物語だった。
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