松本若菜“美羽”は知らない…田中圭“宏樹”が大切にしているものから分かる思いが切ない<わたしの宝物>

2024/10/25 14:29 配信

ドラマ レビュー

宏樹が持っていたタオルハンカチから分かる美羽への愛情


浅岡の店を出た宏樹がそっと取り出した1枚のタオルハンカチ。冒頭、美羽が用意したハンカチとは別に、宏樹が内緒で持っている描写があったものだ。

宏樹の回想によれば、まだ美羽と付き合っていないとき、美羽の会社を訪れた宏樹が汗だくになっていたのを見かねて、美羽が差し出したタオルハンカチだった。このことを思い返しているときの宏樹はとても優しい表情になっていた。

知り合って間もない浅岡は宏樹の心の奥をあっさりと見抜いたが、このタオルハンカチからも宏樹が本当は美羽のことを思っていることが分かった。

ストレスをどうしようもなく美羽にぶつけてしまう後悔と、子どもにも影響しないかという不安。宏樹は浅岡の言葉どおりにちゃんと考え、美羽が子どもを産みたいと思っていることを確認した上で、大きな新規プロジェクトを任されて忙しくなることを建て前の理由に、子育てに協力するつもりも口を出すこともないが、「金は出すから。金で苦労はかけない。それでいい?」と告げた。

入院中の実母の治療にお金がかかることもあり、シングルマザーで育てていくことは難しいと思っていた美羽は、その申し出を受け入れた。“托卵”という決意をしながら申し訳なさもあってか離婚を考えていた美羽にとって、非情ではあるが願ってもない申し出だった。翌日、美羽は母子手帳の父親欄に宏樹の名前を書いた。

そしてラスト、展開は早く、美羽が無事に元気な女の子を出産した。そこに宏樹が面会に来て驚く美羽だったが、「抱っこしてみる?」と問い掛けた。こわごわ赤ちゃんを抱きかかえた宏樹は、その顔を見つめながら涙があふれ出た。赤ちゃんの泣き声と重なる、号泣ともいえる宏樹の泣き声。そんな宏樹を美羽は信じられないとでもいうような目で見ながら「宏樹のそんな姿を私は初めて見た」と思うのだった。

単なるモラハラ夫ではなかった宏樹。第1話から印象が一変する展開となった。美羽を変わらず思っていることが分かった今、“托卵”という現実が突き刺さったときにどうなってしまうのか、心配が募るばかりだ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部