その時、きり丸がふと小銭を落とす。お金のことになると驚くべき能力を発揮するきり丸。いつもなら、目を小銭に変えて全力ダッシュで取りに行くが、今回は落としたことにすら気付かない。これはきり丸が全くもって大丈夫ではないことを端的に表している。乱太郎としんべヱもまた「落とした小銭に気付かないなんて…」「全然平気じゃない…」と心配していた。
寂しそうなきり丸の背中を見て、乱太郎としんべヱはどうにかしたいと思うもどうにもできずにもどかしい。もう一度「きり丸、やっぱりうちおいでよ」「うちでもいいよ〜!」と誘ったそのとき、土井先生がやってきて「一緒に帰れることになった。仕事が早めに片付いたんだ!」ときり丸に告げる。
その言葉にパーッと笑顔になったきり丸は「じゃあ、土井先生、帰りましょう!」と声を弾ませ、仲良く一緒に帰宅。その後、2人は楽しそうに鍋を囲んでいた。この回だけでも、きり丸が土井先生を家族のように慕い、土井先生もまたきり丸に日々家族のような大きな愛情を注いでいることが伝わってくる。
同時に、優しく思いやりがある乱太郎とおっとりのんびりした性格のしんべヱ、そして明るく元気なムードメーカー・きり丸、3人全員の性格も生い立ちも家庭環境も金銭感覚も違うが、それぞれが互いを認め、受け入れ合って、大切に思っていることが垣間見えた。
きり丸が、何よりも目がないお金。だが、それよりも土井先生との生活の方が大切で、乱太郎としんべヱもまたきり丸のことを大切な家族の一員だと思っている。何ともほっこりと温かい気持ちになる、彼らの絆がムギュッと詰まったエピソードだった。
構成・文=戸塚安友奈
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