並外れたビジネスの才覚を持つ天性の人たらし“ハル”こと天王寺陽(CV.大塚剛央)と、パソコンオタクで人付き合いが苦手な“ガク”こと平学(CV.石毛翔弥)が、トリリオンダラー――1兆ドルを稼ぐことを目的に会社を立ち上げる起業サバイバルストーリー「トリリオンゲーム」(毎週木曜深夜1:58-2:28ほか、TBS系/Prime Video・ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)。10月24日に放送された第5話は、ハルとガクの命運が懸かったセキュリティ・チャンピオンシップの決勝戦。予想を超えたハルの“ワルい男”ぶりと、ハルを敵視する長瀬(CV.水中雅章)の存在感が際立つ回となった。(以降、ネタバレが含まれます)
第5話「乙女の眼差し」では、ドラゴンバンク主催のハッカー大会「セキュリティ・チャンピオンシップ」決勝戦に進出したハルとガクが、予選を勝ち抜いてきた精鋭チームと激突。決勝戦の競技「アタック&ディフェンス」は、各チームのサーバー、すなわち城をハッキングしてポイントを奪うというもの。どのサーバーにも脆弱性があるため、この穴も塞がなければならず、攻守を同時に行うことが重要となる。つまり、パソコンを操れる人員が1人しかいないハルとガクのチームは圧倒的に不利な状況だ。
スタートダッシュが肝となる戦いにもかかわらず、ガクに1分待ってから始めるよう指示するハル。その真意は、勝利祈願に見せかけたアルミ粉末のばら撒きで、ルーター接続への電波障害を起こすことにあった。前話終盤で、神主姿で現れたハルを見て「お祓いのワシャワシャ棒、何かギラギラだし」と呆れ混じりにつぶやいていたガク。まさか電波障害の奇策だとは視聴者も予想できなかったようで、SNSでは「電波障害狙ってたんかw やばすぎるwww」「てか、Wi-Fiルーターってこんなんで妨害できるんだな」と感心する声が上がった。
ライバルチームを出し抜いたハルとガクだったが、ドラゴンバンクの精鋭チームが彼ら以外のチームに入れ知恵したことで、ハルとガクのチームは集中砲火を浴びることに。ついには0点となってしまい、ガクも万事休すと諦めかけたとき、ハルの本当の反撃が始まる。ハルは決勝会場の設営スタッフに紛れ、電波障害が届かない場所にニセのWi-Fiルーターを設置していたのだ。最初に仕掛けた電波妨害は、ライバルチームを生きた接続ポイントであるこのニセのWi-Fiルーターに誘導するためのもの。接続してきたライバルチームのパスワードは丸分かりで、これによりガクは対戦相手のサーバーに入り放題。対戦チームのファイルを書き換え続け、ついに逆転優勝を果たす。
二段構えの作戦というハルの抜け目なさと鮮やかな大逆転劇に、SNSには「ハルくん工作員の才能がありすぎる」「ハルくんとんでもないワル男だけどかっこいいな」「通信妨害で焦った参加者を仕込んでた回線に誘導するとは人間心理という一番の穴を見事に利用したな」など絶賛の声が寄せられた。
今話でハルに勝るとも劣らぬ注目を浴びていたのが、“桐姫”こと黒龍キリカ(CV.M・A・O)のボディガード兼秘書を務め、彼女に絶対忠誠を誓う長瀬だ。桐姫がハルとガクに並みならぬ興味を持ち始めて以来、長瀬は彼らを恋敵のごとく敵視してきた。そんな長瀬にとって、セキュリティ・チャンピオンシップはハルとガクを潰すまたとない好機。ゆえにドラゴンバンクの精鋭チームで陣頭指揮を執り、ハルとガクのチームが0点になったときには、桐姫に勝ち誇った表情で自身の手柄をアピールしていた。
ところが、桐姫は長瀬に視線を向けるどころか、ハルたちに対する失望から醒めた表情で席を立ってしまう。その姿を見つめる長瀬が、どこか寂しげに見えたのは気のせいではないだろう。長瀬が敬愛する桐姫は、彼女をときめかせてくれる存在がいてこそ輝く女性であり、長瀬はそんなキラキラした桐姫にぞっこんなのだ。残念ながら、長瀬自身は桐姫をときめかせる資質を持ち合わせていないのだが…。決勝戦が決着したのち、桐姫がハルとガクに向ける熱視線に気づいた長瀬は、「戻ってしまわれた、桐姫さんが胸焦がれる乙女の眼差しに…!」と心中でつぶやき愕然とする。このとき、彼の胸中は悔しさと桐姫が熱を取り戻した嬉しさがないまぜになっていたのかもしれない。
随所で存在感を発揮した長瀬に、SNSでは「このオッサンおもしろい」「長瀬が面白すぎる。絶対解雇しないでくれ」「長瀬の顔芸がもはや芸術だなw」と愛のあるコメントが続々と寄せられた。喜怒哀楽がストレートに顔に出る長瀬は、ヒール的ポジションながら愛すべきキャラクターといえるだろう。今後も名ゼリフと“顔芸”で物語を盛り上げてくれそうだ。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)
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