先に行われた完成披露試写会で、大沢から「家に遊びに来て」との手紙を受け取った綾瀬は、森井監督と一緒に大沢宅を訪問したとのこと。
大沢が「この前、実現しました!」と声を弾ませると、綾瀬は「すぐに一菜ちゃんに日程を言ってもらえて。一緒にババ抜きをしたり、一菜ちゃんのお母さんの手料理をいただいたりして。楽しかった」と笑顔を見せ、大沢も「お母さんも結構喜んでいました」と報告して笑いを誘う。
そんな二人について、森井監督は「二人はどこか似ている。真っすぐで唯一無二。どこにも属していない二人」と共通点があるとし、「今回の映画の物語の中で、のり子とハルとして出ていただいたのは良かったと、あらためて思う」とキャスティングに胸を張る。
大沢も大先輩・綾瀬から影響を受けたようで、「のり子はせりふがなくても、目で自分の気持ちを表現する。自分もいつかできるようになりたいと思った」とリスペクト。綾瀬は「一菜ちゃんと初めて対面してお芝居をしたときに、目力にビックリして吸い込まれそうになりました」と若い才能に刺激を受けた様子。
さらに、綾瀬は同年代の森井監督について「勝手に親近感を感じていました。一緒に作品を作っている感があって、話をしていても感覚的に共感することも多かった。同い年だと思うだけで安心感がありました」と全幅の信頼を寄せる。
最後に、本編上映に向けて森井監督が「たくさん不思議なことが起こる映画ですが、その不思議さを丸ごと楽しんでいただきたいと思います。心を柔らかくして見ていただけたらうれしいです」と呼び掛けた。
他者と必要以上のコミュニケーションをとることをしないのり子は、鳥取の町で清掃員として働いている。
ある日、仕事で訪れた病院で、入院患者の理映子から「姫路にいる私の娘をここに連れてきてほしい」と頼まれた彼女は、その依頼を受け入れ、単身で兵庫・姫路へと向かう。
理映子から渡された写真を頼りに、のり子が見つけることができたハルは、林の中で秘密基地を作って遊ぶような風変わりな女の子だった。初対面ののり子の顔を見て、「トンボ」というあだ名を付けるハル。
2匹の犬を連れた赤い服の女、天地が逆さまにひっくり返った車の中に座っていたじいじ、「人間社会から逃れるために旅をしている」と語る親子、久しぶりに会った姉など、さまざまな人たちと出会いながら、姫路から鳥取まで一本道の国道29号線を進んでいく2人の旅が始まった。