――前回の大好評を受けての第2回開催ですが、第1部を終えての手応えはいかがですか?
読んでいる時は、本に集中しちゃうんですよね。時々客席の方を見たりはしますが、お客さんのリアルな反応は、僕がいるブースの中からは実は分からないんです。
だからブースから出た時にみなさんの顔を見て初めて手応えを感じました。「やってよかった!」って素直に思える瞬間でしたね。
――イベントに備えて意識したことはありますか?
「上手くなり過ぎないようにする」ということです。僕はナレーターでも声優でもない、ただの“AV男優・大島丈”なので、プロっぽく上手く読むのは自分らしくないなと思って。
だから、事前に練習という練習はほとんどしませんでした。読み仮名を確認したり、時間を計ったりといった事前準備はしましたが、通して読んだのは1回くらいで、何回も読み込むことはしないんです。
その時の感情や、感性でいきたいなと常々思っているので、お客さんにもそういうところを感じてもらえていたらうれしいですね。
――文学作品から官能小説まで…読み分ける難しさはないですか?
僕は、楽しくやっていきたいという思いが一番強いので、あまり考えないようにしています。
文学作品は文学作品なりの、官能小説は官能小説なりのアプローチの仕方もあるし、各作品に対してのアプローチも変えたいなと思っています。
たとえば文学作品でも、第1回で読んだ作品は割と淡々と読んだんですね。でも今回の1発目の宮沢賢治の「よだかの星」、これは童話でもあるので、ちょっとづつ声色を変えて、細かく演じ分けたりしました。
一本調子だとお客さんが飽きちゃうじゃないですか。そして自分も飽きちゃう。だから、やり方をちょこっとずつ変えて。自分が楽しいと思えるようにしましたね。
――文学作品だと本に集中して、また別の作品ではダミーヘッドを登場人物の女性に見立てて、官能小説では客席に向かって語るといった感じで?
そう、やりましたやりました(笑)。あれ、実はあの場で考えたんです。違いは出したいなと思ってましたけど、全然プランを立てていなかったんです。「もう、出たとこ勝負だ!」と思って、それがあの結果になりました(笑)。
――それぞれ楽しめました(笑)。大島さんといえばウィスパーボイスですが…その生かし方も事前に考えていなかったのですが?
そうですね、読んでいる時に文章を目で追いながら、「あ、今ここでいきたいな」って感じた時に使いました。だからたぶん、同じ作品を読んでも二度同じことはしないと思います。
――となると第2部、第3部も違う雰囲気に?
官能小説は、“出たとこ勝負”になりそうです。だから、外す場合もあると思うんですよ、ぶっちゃけ(笑)。「あれ、ちょっと失敗したかな」とか…でも、そういうところも含めて楽しんでもらえたらうれしいです。今日も、みなさん良かったって言ってくださったので、終わった時にハッピーになればいいなって。失敗をおそれずに第2部、第3部もいきます!
――少し前に仰っていた、“AV男優・大島丈”ならではの朗読とは?
普段の男優としての仕事では、絡みの中で、いやらしい言葉を言うのは当たり前なんですけどね。それをみんながいるところで言うっていう面白さはありますよね。
いやらしい言葉を、いかに下品にならないように言うか、いわゆる「えっへっへっへ~」みたいな品のない、いやらしさではなくてね(笑)。“いやらしい言葉を、文学的要素を残しつつ、さらっと言える”ってところかな。
――大島さんの官能小説の朗読には“リアル”が含まれてますよね。
そう、僕男優歴27年目だから、もう想像っていうことはなくて、リアルしかない。どうしても現場で培ってきちゃいますから(笑)。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)