TOHOシネマズ 日比谷に場所を移して行われた「ゴジラ・フェス2024」と、第37回東京国際映画祭提携企画「ゴジラ 4Kデジタルリマスター版」のジャパンプレミア。
「ゴジラ 4Kデジタルリマスター版」は2024年2月に開催された第74回ベルリン国際映画祭クラシック部門で世界初上映され、ゴジラ70歳の誕生日のこの日、日本初お披露目されることになった。
上映前には、山崎貴監督と初代ゴジラの造型助手・鈴木氏がトークショーを実施。あと2年程で90歳を迎えるという鈴木氏が初代「ゴジラ」と関わったのは、東京・多摩美術大学彫刻科1年時、19歳のころだという。同級生に円谷英二の親戚がおり、「うちのおじさんが『ゴジラ』という怪獣を作るらしいから、お前どうだ?」と誘われ、東宝でアルバイトすることになったとのこと。
特撮シーン撮影過程での苦労点を聞かれた鈴木氏は「大変だったのは材料集めです。そもそもプラスチック材料がない時代だったので、プラスチック工場やお店を回って探して、さらにそれをどう使うのか。プラスチックを使ったことがないので、専門会社に来てもらったりして、何度も何度も試行錯誤しました」と回想。また、ゴジラの形を作るのには金網なども材料として使用したことも明かす。
完成したゴジラ第1号は重くて動かなかったという逸話もあり、鈴木氏は「重過ぎてスーツアクターの中島春雄さんが『こんなものを作りやがって。芝居が出来ないだろうが!』と怒った。しかも、それを偉い人には言えないので、私を捕まえて…」と当時の厳しさを暴露。山崎監督が「昔はね! 70年前の話ですからね!」と必死にフォローする。
特撮怪獣映画という全てが初めての撮影だったため、「撮影スピードを4倍に上げるので、その分ライトはかなり当てる。かなり暑くて、スーツの足元には大量の汗が溜まるほどだった。すると、中島さんは『お前らがこんなスーツを作ったんだぞ?』と言ってくる」と続ける鈴木氏に、すかさず山崎監督が「で、1番下っ端の鈴木さんを…!?」とまたまたぶり返し、笑いを誘う。
映画で見ることのできる初代ゴジラは、鈴木氏曰く「何度も改良を重ねて作り直したもの」で、モノクロ作品ではあるが「現物の初代ゴジラの色はネズミ色。グレーです。もちろんネズミ色一色ではなく、銀、緑、茶色を使ってバランスを取った」と貴重な証言も飛び出す。
山崎監督は幼少のころ、テレビで初代「ゴジラ」を見たそうで、「怖かった。モノクロでウルトラマンは助けにこないし、街は壊すし、人はなすすべがないわけで」とゴジラの迫力に心底怯えた様子。
その初代に対するリスペクトは「ゴジラ-1.0」に色濃く反映されており、「その影響は大変なもので、かなりインスパイアされています。初代『ゴジラ』の好きなところは使わせてもらっています」と話す。
新作「ゴジラ」映画への続投が発表されたばかりで、山崎監督は「今はハリウッドでもゴジラが作られるようになり、和製ゴジラという言い方もある。しかし、僕らが作るものは、初代『ゴジラ』の精神を大事にしなければいけないと思っています。もちろん、いろいろなタイプのゴジラ映画があっていいと思うけど、僕は初代『ゴジラ』が持つ気持ちを大事にしていきたいと思っています」と鈴木氏に誓うように宣言。
最後は樋口真嗣監督も参加し、歴代「ゴジラ」関係者を交えた記念撮影が行われ、舞台あいさつは終了した。