水瀬いのりがライブツアー完走「続けてきて良かった」「また未来で一緒に新しい思い出をブックマークできる日が楽しみ」

2024/11/04 17:34 配信

音楽

水瀬いのりがライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2024 heart bookmark」ファイナル公演を開催Photo by 加藤アラタ(Kato Arata)/三浦一喜(Miura Kazuki)

水瀬いのりのライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2024 heart bookmark」ファイナル公演が11月3日、千葉・LaLa arena TOKYO-BAYで開催された。

スタートから一体感を見せるツアーファイナル


2024年8月にリリースした1stハーフアルバム『heart bookmark』を引っ提げて、自身最大規模となる兵庫、広島、愛知、福岡、北海道、千葉の6都市7公演を巡った今回のツアー。

ファイナルのオープニングムービーでは、これまでのライブを象徴するアイテムが飾りつけられた本棚から一冊の大きな本を取り出し、自身の音楽活動の思い出が綴られたページを愛おしそうにながめる様子が映し出される。

途中のページにしおりを挿んで立ち去ると、残された本の表紙に書かれていたのは本ツアーのタイトル。この本自体がアーティスト活動の思い出をまとめた1冊であり、これからその新しいページが記される。そんな想像がふくらむ幕開けに。

ライブは華やかなアップチューン「We Are The Music」でスタート。ステージにはアルバム『heart bookmark』および本ツアーのアートワークのロケ地、フランス・パリの街並みをイメージした舞台セットが広がる中、水瀬は「千葉DAY2、ファイナル、一緒に楽しんでいきましょう!」と元気良く登場。

観客に手を振るように呼び掛け、一面水色のペンライトに染まった会場の心を1つにする。さらに、今回のツアーでは初の試みとなる腕輪型のシンクロライトが導入され、その光がさらに一体感を高めていく。

続く「Sweet Melody」でファンへの「ありがとう!」の気持ちを歌詞だけでなく直接言葉にして伝えると、MCではトリコロールカラーのクラシカルな衣装をアピールし、コール&レスポンスでファンとの絆を確かめ合う。

そして、柔和な表情を浮かべて歌う姿が印象的だった「Ring of Smile」、カフェチェアーに腰掛けながらお洒落に見せた「ほしとね、」、今度は街頭が灯るベンチに座りながら届けた切なくも温かな歌声が心に染みる「ソライロ」を続けて披露。

今回のツアーのセットリストは水瀬本人が考案したとのことで、アルバム『heart bookmark』の収録曲を軸にしつつ、彼女自身が今届けたい「お気に入り」の歌が、感情たっぷりに表現されていく。

ここで彼女のライブをサポートするバックバンド、通称・いのりバンドのメンバー紹介のコーナーへ。水瀬たっての希望で、2024年に開催されたアコースティックライブで新たに加わったパーカッションとバイオリンが本ツアーにも参加。

ギター2人、ベース、ドラムス、キーボードと合わせて総勢7人の大所帯となっており、音の厚みが増しただけでなくアレンジの幅が広がっていたのも本ツアーの特徴。

ラテン語で“苺”の意味を持つ楽曲「フラーグム」では、イチゴをイメージした真っ赤なドレス衣装に着替えた水瀬が、舞台セットの欧風建物の2階バルコニーに登場して歌唱。

自身が魔法少女のベリーブロッサム役として出演するTVアニメ「アクロトリップ」(毎週水曜夜10:00-10:30、TOKYO MXほか)のオープニング主題歌ということもあってか、ヒロイックなポージングもバッチリと決める。「Kitty Cat Adventure」では、恥じらいながらもネコ風の愛らしい振り付けを見せ、会場からはひと際大きな歓声が上がる。

バンドメンバーとのツアーの思い出話に花が咲いたMCパートを経て、『heart bookmark』からの楽曲「グラデーション」では、語り風のパートを含め、さまざまに色付いていく歌い口で感情のグラデーションを表現。

ノスタルジックなミディアムナンバー「夏夢」は、楽曲の展開に合わせてステージライトの色味が淡く移り変わっていく演出が秀逸で、その中で彼女の歌声が繊細な心の機微を描いた。

活動10周年を迎える水瀬いのりが進化を見せつける


パリでの撮影風景を本人のコメントと共に紹介する幕間映像を挿み、続いてのブロックは「スクラップアート」で幕開け。光沢のある、きらびやかな衣装に身を包んだ水瀬は、ダイナミックに展開していく楽曲を、クールかつ情熱的に歌い上げ、その鮮烈な世界観を形にしていく。

「アイオライト」では、バンドが奏でる溜めの効いたグルーヴに体を揺らせながら伸び伸びと歌唱。このブロックは水瀬いわく「かっこつけゾーン」とのことで、アーティストとしてのスタイリッシュな一面をアピール。

その後のMCで、「思い出やあの日を思い浮かべながら聞いてほしいです」と告げて歌われたのは「八月のスーベニア」。どこかセンチメンタルなギターの音色、水瀬の澄んだ歌声に、青春の甘くほろ苦いメモリーが溶け出していく。

続く「三月と群青」も、かつての“思い出”をモチーフにしたロックナンバーで、変わっていく景色と変わらない思い、その複雑な感傷をエモーショナルに熱唱。代表曲の1つ「Starry Wish」では、力強さだけでなく包容力も感じさせるボーカルを聞かせて、2025年にアーティスト活動10周年を迎える彼女ならではの進化を見せつける。

バンドの演奏コーナーが会場を賑やかに盛り上げると、ステージ上手の建物にランタンが灯り、そこからアシンメトリーの優美な衣装にポニーテール姿の水瀬が登場して「燈籠光柱」を披露する。中華風からサンバまで、あらゆる国の音楽が融合したようなサウンドが描き出すのはカーニバルさながらの光景。

会場には観客の「La La La♪」と歌う声が大きくこだまして、水瀬はそれを両手をいっぱいに広げて受け止める。彼女自身もレコーディングで歌ったときとはまた違った感情、この楽曲に込められたメッセージのうちの1つ「これからも一緒に進んで行こう」という気持ちを、より強く感じることができたと語る。

胸元に手を当てながら、慈愛に満ちた表情で届けた「My Graffiti」、日常の輝きと自由で筋書きのない未来への希望を込めた「glow」を続けて歌い、会場を見渡して感慨深げな表情を浮かべる水瀬。その後のMCで、彼女は「私の心の中にあるいろんな気持ち、普段だったら言葉になかなかできない気持ち」をみんなに伝えたくて、この日のセットリストを一生懸命考えたと話す。

そんな彼女がライブ本編の最後に届けたかった楽曲が、今回のツアーと同タイトルの楽曲「heart bookmark」。彼女はファンに向けて「最後はみんなで特大のブックマークをしましょう!」と呼び掛け、バンドの躍動感あふれる演奏に乗りながら、心から楽しそうに、この日だけの“ダイヤモンドのような瞬間”を作り上げていく。

その笑顔に大合唱で応えるファンたち。ラストは、水瀬が自撮り棒を取り出して客席やバンドを撮影する中、会場中が一体となって“We are all right!”と何度も繰り返し歌い、会場にいた誰もがその景色を心にブックマークしてライブ本編は幕を閉じた。

ライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2024 heart bookmark」を駆け抜けた水瀬いのりPhoto by 加藤アラタ(Kato Arata)/三浦一喜(Miura Kazuki)

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