コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ガンガンJOKER10月号に読み切り掲載された、特文さんが描く『放浪猫とトラバント』をピックアップ。
特文さんが2024年10月19日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、特文さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
大学生の主人公・草野 廻(くさの めぐる)は、ある日幼なじみの栞(しおり)が結婚することを知り大きな衝撃を受けていた。
栞のことをあれこれ考えながら歩いて帰宅していると、帰宅途中によく見かける年齢不詳の不思議なお姉さん・三輪(みわ)ひかりがいることに気づく。名前も知らない彼女は、見かけるたびに大道芸をやっていたり、野良猫を集めて整列させようとしていたり、と何かと目に留まる存在だった。ひかりの前を通る際、転びそうになった廻は思わず声を上げてしまう。廻に気づいたひかりは、普段とは様子が違うことを指摘し、ちょっと歩こう、と誘うのだった。
ひかりに振り回されながらもついて行く廻は、お腹が空いたというひかりと1軒の飲み屋に入ることに。そこで廻は、幼なじみの栞の結婚話をし、素直におめでとうと言えずモヤモヤしていると言う。すると栞に恋心を抱いていたことをひかりに指摘されるのだった。
改めて栞が好きだったことに気づいた廻は、気持ちを伝ることを決意。ひかりがそばで見守る中、思い切って告白するのだった。その後、気持ちをすっきりさせた廻がひかりに礼を言うと、面白そうなところを見つけたから行きたいと言い出す。ふっきれた廻は、ついて行くことを決心。しかし行先はここから電車で1時間の場所なのだった…。
作品を読んだ読者からは、「キャラが良い塩梅に濃い」「自分の殻破るって独力では難しいよなぁ。」など、反響の声が多く寄せられている。
――『放浪猫とトラバント』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
自分が大学生になったとき、それまでと違って大学やサークル関係、バイト先とかで同年代じゃない歳上の人と仲良くなる機会が増えました。
その人たちと話していると自分がまだ知らない世界が垣間見えた気がしてとても楽しかった記憶があるんですが、自分が当時のその人達の年齢くらいになった今、10代の頃の漠然とした焦りや悩みとか、よく分からないけど年上の人に感じていた魅力とかを詰め込んだ漫画を描きたいと思ってこの読切を作りました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
ヒロインのひかりさんを、本当によくわからないんだけどなんだかんだで信頼できそうな、それでいて可愛い女の人として描くことです。
奇行が多すぎて大人っぽくは見えなくなってしまった気がするんですが、そのへんは後半のカウンセリング能力の高さでなんとかしようと努力しました。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最後のひかりさんの「えらいよ」のくだりが好きです。
個人的に、人がなにかに挑戦したときにその結果の良し悪しはあんまり気にしていなくて(もちろん良い結果のほうがいいですが!)、それに挑戦した事自体とそれで心持ちがどう変わったかの方が大事だと思っています。なので、この「えらいよ」は僕自身がどうしても廻にかけてあげたい言葉だし、作中で僕はひかりさんと同じ視点に立って彼を見ていたと思います。
――Xに投稿には多くの反響がありました。その中で特に印象に残っているコメントはありますか?
ツリーの最後にマシュマロ(Webサービス)を設置していたんですが、そこに「この漫画を読んで、絶対に成就しないけど好きな子に告白してきます!」という匿名コメントを書いてくれた方がいて、めちゃくちゃ応援したくなりました。
――特文さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
普段は別名義で成人向け漫画を書いているんですが、今後はそちらも進めつつ一般の読切や連載もやっていきたいなと思っています。やりたいことだけはたくさんあるので、身体がもう3つくらいほしいですね。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
漫画は描くのはいつだってだいたい楽しいことだらけです!なので読んでいただいている読者さんにも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいなと思っています。今後とも見守って頂けると嬉しいです。
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