――印象に残っているディレクションはありましたか?
速水:「千年血戦篇」の収録の前に、ゲームアプリの「BLEACH Brave Souls」の音声収録があったんです。そこで「もうちょっと若くやってほしい」と言われてしまって。僕の中では、藍染はわりと低音でしゃべっている印象だったのですが、最初の収録からもう17年もたっていましたからね。
知らず知らず、自分の中で藍染を少し大人にし過ぎてしまったのかと思い、アニメ「千年血戦篇」の収録が始まってからは、ちょっと声を若くしたんです。そうしたら、今度は最初の一声で「そんなに若くしなくていい」とディレクションが入ってしまって(笑)。結局、今のところに落ち着きました。ほんのちょっとしたさじ加減で、印象って変わるんですよね。
――藍染のセリフで、一番気に入っているものを教えてください。
速水:名言集ができそうなくらい、いいセリフはたくさんありますが、一番好きなのは詠唱なんです。「破道の九十『黒棺』」の詠唱(※編注)は、まるで詩のような、なんとも言えない独特なリズムがあります。
本番で初めて詠唱をマイクの前でしゃべったとき、「これを唱えることができる自分は幸せだ!」と感じました。個々の単語はちょっとブラックなイメージのものもありますが、トータルであの詠唱は、ひとつの芸術作品のような完成度だと思います。
※編注:滲(にじ)み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げる 爬行(はこう)する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ 「破道の九十『黒棺』」
――「BLEACH」で一番気に入っているキャラクターと、その理由を教えてください。
速水:市丸ギンですね。彼はある意味、「BLEACH」の中で一番男らしいと思っています。ずっと藍染の側にいて、復讐する機会を伺っていたわけですから。そういうギンの息の潜め方や、信念を貫く強さが好きですね。
――最後に、ファンに向けて一言お願いします。
速水:20年という長きにわたり「BLEACH」を応援して愛してくださって、本当にありがとうございます。「千年血戦篇」もいよいよ佳境に入ります。これからも目を離さず、ぜひ「BLEACH」を応援してください。よろしくお願いします。
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