その夜、病院の口コミサイトに「那須田歩は患者を死なせた」というタイトルの書き込みが。そこには、歩は患者をだまして死なせた事があり、歩の言葉を信じるな、と書かれていた。歩には心当たりが無く、「ただのいやがらせ」と一蹴するが、静は「歩くんの行きすぎた言葉が原因かもしれない」と言い、ナースたちも歩が今までに怒らせた患者の誰かだと言い始め、中でも、直近のトラブルの相手・純子を疑うのだった。
翌日、抗生剤の点滴中の純子からナースコールが入った。歩と柚子が向かうと、点滴の針が刺さった箇所から出血した腕を突き出して「血が止まらない。医療ミスだ」と当たり散らした。その様子を見ていた隣のベッドの四織(仙道敦子)が、純子が自分で触って出血したのだ、と言い、純子と言い争いになった。
四織はステージ3の膵がんで、手術をすれば根治するのだが、手術の前に腫瘍を小さくする為の抗がん剤治療をもうやめたい、と言っている患者だ。担当医師と歩は説得するが、「治療と手術に耐えるのはしんどい」と、なかなか前向きになれないでいた。
そんな中、昼食を食べた四織が発作を起こした。甲殻類アレルギーがある彼女の食事にエビが入っていたのだ。食事を運んだのは歩。トレーの名前も確認して間違いなく配ったのだが、なぜか隣の純子のトレーと逆になっていたのだった。
絶対に自分は間違いを犯していないと確信している歩は、点滴の出血は純子が触ったせいだと告げた詩織を逆恨みした純子がトレーをすり替えたのでは…と考えたが、証拠は無い。彼は看護部長の塔子(寺島しのぶ)から、しばらく看護から外れるように命じられてしまった。
寮でふてくされる歩に、静は「患者の観察を怠ったにもかかわらず、“自分は間違っていない”と言い張るだけのバカナース」と言い、純子の事は充分観察していた、と反論する歩に「観察する相手が違う」と告げた。
歩が四織を調べると、彼女が、2年前にアメリカの病院に勤務していた時に救えなかった患者・加奈の母親だとわかった。もう助かる見込みが無いのに歩が「頑張れ」と言い続けた事で、加奈は病気が治ると信じてつらい治療にも耐えた。歩の言葉にだまされて、娘はボロボロになって死んだのだ、と四織は歩を恨んでいた。口コミサイトで彼をおとしめ、純子がベッドを離れた隙に食事を取り換え、歩に復讐していたのだ。
歩は、四織が抗がん剤をやめたいと告げた時も「頑張ってみませんか?」と言っていた。患者のつらさをわからずに「頑張れ」「治せ」と言うのは医療の傲慢だと怒る四織。そんな彼女に歩は「患者の気持ちなんてわからない」と冷たく言い放った。続けて彼は「“頑張れ”って言って何が悪いんです?こっちは仕事をしてるだけなのに、逆恨みされていい迷惑。患者のワガママに付き合ってる暇は無い」とまで言ってのけた。
謝るどころか逆ギレする歩に逆上した四織は、「人殺し!加奈を返して!」と何度も言いながら歩を掴んで叩き続けた。歩は加奈に対して「何も謝る事は無い」と冷静な口調で告げ、「もういいですか?」と話を切り上げて去って行った。
歩の後ろ姿を、怒り心頭で肩で息をしながら恨みのこもった目で見つめていた四織は、病室に戻り、担当医師に「まだ死ねない」と、手術を受ける事を伝えるのだった。
実は、加奈は自分がもう助からない事を知っていたが、病弱な母親を気遣い真実を知らせない事にしたのだった。そして、英語ばかりの環境で歩に「頑張りましょう」と言われると元気づけられるから、と「うそでもいいから言ってほしい」と頼み、彼はそれに応えたのだった。
自分への恨みが四織の生きるモチベーションだと静に言われた歩は、「それで生きてくれるなら」と、真実を告げずにこのまま恨ませておく事にした。
手術当日、同室の純子と咲良(白本彩奈)に「頑張って!」と送り出された四織は、「励まされると、元気が出るのね…」と、何か思うところがあったようだ。廊下ですれ違った四織と歩は無言だったが、通りすぎた彼女に向かって、歩は「頑張ってください」とつぶやいた。
視聴者からは「患者を生かす為に恨まれ役を選んだ歩ちゃん、カッコいい」「不器用な優しさの歩ちゃん、いい」など、“患者ファースト”の歩を称えるコメントがSNSに並んだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)