幕末の動乱期、“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心(CV:斉藤壮馬)が、「不殺」の流浪人となって新たな時代を生きようとする姿を描いた『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。これまで舞台や実写映画化など、時代を超えて愛され続けてきた大人気作が2023年に新アニメとして復活。2024年10月からは、第二期となる『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱』(毎週木曜深夜1:05-ほか、フジテレビほか/ABEMA・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)が連続2クールで放送。第29話(第二期5話目)は、剣心と瀬田宗次郎(CV:山下大輝)のバトルを描いた「再び京都へ」。(以下、ネタバレを含みます)
志々雄真実(CV:古川慎)の眼前で、尖角(CV:鶴岡聡)を打ち破ってみせた剣心。しかし、尖角を殺さず、あくまで「不殺」を貫いた剣心に対して志々雄は興ざめ。「不殺」のままでは絶対に自分に勝てないと確信した志々雄は、側近の宗次郎に剣を与えて「俺の代わりに遊んでやれ」と命じると、自らはその場から去ってしまう。こうして剣心と宗次郎の戦いが始まるが、闘気も殺気も放たない不気味な宗次郎を相手に攻めあぐねる剣心。やがて意を決した剣心は抜刀術での勝負を試みるが、宗次郎もまた抜刀術の構えで迎え撃つ。しばしの静寂ののち、一太刀の応酬で勝負は決着。剣心の逆刃刀は折れ、宗次郎の刀はボロボロとなったことで、ひとまず両者の対決は引き分けに終わったのだった。
序盤からいきなり最高峰の実力者同士の対決となった。志々雄の側近ということで、相当な実力を持っていると目されていた宗次郎だが、まさか剣心と互角の戦いを繰り広げるとは驚きで、改めて只者ではないことが示された。この抜刀術のシーンは、それまで流れていたBGMが消え、静寂のなかで緊迫感たっぷりに描かれており、その演出にも注目。衣摺れや畳の軋み、刀と鞘が擦れる音、時計の針の音など、普段ならあまり意識しない音が非常に印象的に表現されており、まさに瞬き厳禁のシーンに仕上がっている。これにはSNSでも「めっちゃドキドキする」「逆刃刀が一撃で逝ったーー!!」など興奮の声があがっていた。
宗次郎が去ったあと、三島栄次(CV:千葉翔也)は座敷で伸びている尖角にトドメを刺そうと刀を振り上げるも、これを斎藤一(CV:日野聡)が阻止する。それでも自らの手でトドメをさしたがる栄次だったが、剣心が「お前の兄のような男になって、幸福(しあわせ)になるでござるよ」と不殺を諭すと、涙を流しながら納得するのだった。一方、志々雄に追いついた宗次郎は、ボロボロになった刀を返すと志々雄がこれに反応。この刀は「長曽禰虎徹」という名刀であり、これを逆刃刀でボロボロにした剣心の実力を再評価した志々雄は、力づくでも剣心の中に眠る人斬り抜刀斎を呼び覚すことを心に決めるのだった。
ここでは栄次に対する大人たちの優しさが印象深い。斎藤が栄次を止めた理由は、警察にとって貴重な証人(尖角)を殺させるわけにはいかないことと、仇討ちは法律で禁止されていることが理由だったが、警察官の倫理感とはかけ離れている斎藤が言うと、これは少々説得力が足りないだろう。もちろんその理由もゼロではないものの、やはり栄次のような年端もいかない少年に殺人をさせたくはないという気持ちもあったのではないかと思う。一方、剣心のほうは「死んだものが望むのは、敵討ちではなく、生きている者の幸福でござる」と、ストレートに言葉を尽くして栄次を説得し、憎しみに飲み込まれそうになっていた彼を救ってみせた。またそれを見守っていた巻町操(CV:山根綺)も、泣いている栄次に手ぬぐいを渡すなど、優しさを発揮した。もっともその手ぬぐいは使われず、代わりに腰の帯で鼻をかまれるなど、操的には散々な結果にはなったのだが。この一連のシーンには、SNSでも「剣心ホントにいいこというね」「立派になってね栄次くん」などの声があがっていた。
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