「SHOGUN 将軍」は“異文化コミュニケーション”の結晶 米エミー賞18冠“最高の評価”受けた理由解説

2024/11/15 07:10 配信

ドラマ コラム

「SHOGUN 将軍」第5話より(C) 2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks

「第76回エミー賞」で史上最多18冠を達成した真田広之主演の戦国スペクタクル「SHOGUN 将軍」。反響の大きさはとどまるところを知らず、11月16日(土)から8日間、全国の一部映画館にて第1、2話が劇場公開される。セリフの7割が日本語という本作が「エミー賞」で外国語作品として史上初めて作品賞を受賞するほど評価されたポイントはどこにあるのか、あらためて振り返ってみたい。

ジェームズ・クラベルのロングセラー小説をドラマ化


戦国時代の日本をモチーフにしたジェームズ・クラベルのロングセラー小説を「トップガン マーヴェリック」のジャスティン・マークス氏らが新たに映像化した「SHOGUN 将軍」。

1600年代の“天下分け目の戦い”前夜の日本を舞台に、真田演じる戦国最強の武将・吉井虎永、伊豆網代に漂着したイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(のちの按針/コズモ・ジャーヴィス)、ブラックソーンの通訳を務めることになったキリシタン・戸田鞠子(アンナ・サワイ)らが直面する陰謀と策略を描いた物語だ。虎永は徳川家康、ブラックソーンは三浦按針、鞠子は細川ガラシャ…とモチーフとなる人物はいるが、設定やエピソードの多くは小説をもとにしたフィクションだ。

「SHOGUN 将軍」第4話より(C) 2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


世界の共感を集めた“吉井虎永”のヒーロー像


人の感情の機微は万国共通であり、俳優たちの卓越した演技は洋の東西を問わず多くの視聴者の心に届いた。「エミー賞」で日本人初の主演男優賞を受賞した真田、アジア人初の主演女優賞を獲得したサワイ、そしてゲスト男優賞を受賞したネスター・カーボネル(網代に流れ着いて途方に暮れるブラックソーンの最初の案内役となるスペイン人航海士・ロドリゲス役)ら、中世日本の世界観に完全に溶け込んだ俳優陣の演技が第1話から堪能できる。


中でも主人公・吉井虎永は五大老の一人ながら他の4人と対立。一手でも間違えれば破滅に転じる瀬戸際で、ギリギリの選択を余儀なくされる。満身創痍でも最後まで諦めないヒーロー像は、英語圏の視聴者にも高解像度で理解され、共感を持って受け止められた。

ひょうひょうと二君に仕える日和見主義の伊豆大名・樫木藪重を演じた浅野忠信、イマイチ天下に手が届かない哀愁漂う敵役の大老・石堂和成を演じた平岳大も今回、助演男優賞にノミネート。強さと弱さを併せ持った人間味あふれる登場人物たちが、英語圏の視聴者にも好意的に受け止められた。

「SHOGUN 将軍」第3話より(C) 2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks