柳葉敏郎が、11月15日に都内で開催された映画「室井慎次 生き続ける者」初日舞台あいさつに、福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうが、筧利夫、真矢ミキ、松下洸平、本広克行監督と共に登壇した。
映画「室井慎次 生き続ける者」は、1997年の連続ドラマ「踊る大捜査線」(フジテレビ系)開始以来、熱狂的なファンを生み出し、劇場版は邦画の歴史を変えた大ヒットで社会現象を巻き起こした、「踊る」シリーズの12年ぶりとなる最新作。柳葉演じる警察官僚だった室井慎次のその後を描いた2部作の後編。
登壇した柳葉は、「自分が生まれ育った場所で作品を作ってもらえるなんていうことは、役者としてはこの上ない幸せで…。地元でのロケの時は、そこかしこにいらっしゃる人たち全てに対して感謝の思いで過ごさせていただきました」と述懐した。
また、地元の映画館で同作を鑑賞したことを明かし、「地元の人たちの愛情を改めて感じさせてもらいました」と振り返りつつ、「かみさんと2人で見に行ったんですけど、不思議なことにかみさんが涙するところと俺が涙するところが違うんですよ。『なんでだろう?』と考えてみたら、自分は室井になって見てるんですね。室井の涙なんです。あれは、自分でも初めての経験でした」と告白。
さらに、今作の室井について「室井の素顔がきっと皆さんに伝わったんじゃないかと思います。このシリーズではずっと室井は(感情表現できる余地のないキャラクターのため)縛られっぱなしですから(笑)。だから、そこから解放された室井慎次だったんじゃないかなって」とにっこり。
そんな中、司会者から「柳葉さんから見て、室井慎次とはどういう男でしょうか?」と聞かれた柳葉は「格好いいっすね。格好いい親友を持ちました。27年間付き合ってきて、彼はいろいろなことを教えてくれました。それがいいこともあり、そうでないこともあり。でも、親友ってそういうものなんだなっていうのも改めて感じさせてもらいましたし、この27年間の彼との付き合いを柳葉敏郎の人生に生かせたらいいなと思っています」と打ち明けた。
最後に、柳葉は「自分にとって室井慎次というのは、うそ偽りなく大親友です。かつての室井慎次は、信念を持ちながらも、それを達成できなかった悔しさを持っていたんですけど、これを終えることによって、彼ら(他のキャラクターたち)のおかげで一つの小さな信念を通すことができました。皆さんも自分の環境の中で、小っちゃな信念を求めて幸せになってください。そして、室井慎次は“敗れざる者”であり、“生き続ける者”であり、柳葉敏郎は“幸せ者”です」と語って、イベントを締めくくった。
警察を辞めて故郷の秋田に帰っていた室井慎次。ある日、彼の前に、シリーズ最悪の犯人と言われた猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘だという日向杏(福本)が現れる。彼女の来訪とともに、他殺と思われる死体が発見され、室井の周りはにわかに騒々しくなる。室井は、かつての同僚であり今は秋田県警本部長になっていた新城(筧)に頼まれ、警視庁捜査一課の若手刑事・桜(松下)と共に捜査に協力することになる。
◆取材・文=原田健