コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、アンドロイドが制作者の主人の復活を健気に100年間待ち続ける物語が面白いと話題の「予言の成就を待つアンドロイドの話」をピックアップ。作者の仁科さんは「sick」(著:仁科//出版:ナンバーナイン)の作者であり、現在は「はじめてのお友達はゾンビでした」(著:仁科//出版:U-NEXT)を公刊して、現在もピッコマで連載している。
仁科さんが2024年11月10日にX(旧Twitter)に投稿したところ、3万9000千件を超える「いいね」を獲得し、「めちゃくちゃ面かった」「読み終えて涙が止まらなかった」「良すぎ」「デラックス良い」「一気に読んで泣いてしまった」など多くの反響が寄せられた。本記事では、仁科さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
100年前に生体アンドロイド開発者のオーナーのノア・高垣が「100年後に蘇る」と言い残して死ぬ。100年後、生体アンドロイドのストラ・高垣は彼女の死を悔やみながら彼女の研究室を大企業へと成長させ、法改正を進めていた。毎日、新生児の顔写真を解析し、ノアの再来を待ち続けるストラ。
ある日、100年前にノアが残したビデオメッセージが再生され、自身が生体アンドロイド規制派に殺されると予知していたことが判明する。しかし、100年後に蘇るという「予言」はストラを長生きさせ社会に貢献させるための嘘だった。ノアは「一人にしてごめん」と謝罪する。
ノアの言葉に落胆したストラは、会社を後継者に引き継ぎ、100年間の記憶を消去することで未来の再会を信じ、ノアの予言を実現させることを決意する。そして、自身の100年間の記憶を消そうとするのだが…。
100年間主人を待ち続け、ビデオ越しに「さみしんですけど」と訴えるアンドロイド・ストラの感情溢れる“ヒューマン”・ドラマに、SNS上では「尊い」「一気に読んで泣いてしまった」「凄いなぁ、SF世界の夢十夜だ」「素晴らしい作品」など、多数のコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
――「予言の成就を待つアンドロイドの話」のモチーフはどのようにして生まれたのでしょうか。
最初に冒頭2ページのセリフが浮かんだので、それを元に構想を広げて作っていきました。
シーン先行で具体的なプロットがあったわけではないので、「どうやって蘇ろう…?」「どんな結末になるんだろう?」と、実は悩みながら描いています。
――本作ではストーリー構成上、100年後の世界と100年前に作成されたノア・高垣のビデオメッセージなどが関係しています。表現上、工夫された点はどこでしょうか。
見た目上は同じ空間にいるけれど実際には断絶があると伝わるよう、ノアの背景に冬の夜を都度入れるようにしました。対照的に、ストラはあたたかな日が差す部屋にいます。
また会話中には出てきませんが、「100年待つ」というテーマから連想して、夏目漱石『夢十夜 第一夜』で印象的に描かれる百合の花を描写に入れています。
――生体アンドロイドのストラ・高垣の人間性が非常に魅力的です。本作を描く上で仁科さんがこだわった点がございましたら、教えてください。
賢くてどこか可愛らしく、憎めないパートナー…というキャラクターになるように意識しました。
本人は至って真面目だけど少しずれている、蘇り対策のシーンによく反映されているなと思っています。
――本エピソードで、仁科さんお気に入りのセリフやシーンなどがございましたら教えてください
一度「殺されると知っていたんですか?」が重なった後、徐々に会話の内容やテンポがずれていく様子が気に入っています。
――本作で読者に注目してほしい点などがありましたら、お聞かせください。
作中ずっと笑っているノアですが、不敵だったり寂しげだったりと実は表情豊かです。注目してみてください。
また二人が迎える結末とは裏腹に、読後感がどこか軽やかな点が面白いと感じています。
短い作品ですので、ぜひ通して読んでいただければと思います。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
作品を読んでくださってありがとうございます!
今後もたくさん、いろんなジャンルの漫画を描いていきますので、またどこかでお会いできれば嬉しいです。
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