本作で9年ぶりに長編映画監督に復帰した呉監督。「育児をしながら、いつか映画を作れたらと思いながら日常を過ごしていました。吉沢さんはそんな中で注目していた俳優さんで、この企画をもらった時に真っ先に頭に浮かびました。ご快諾を頂けて、私にとっては最高の復帰作になりました」と胸を張った。
この日は、ロングラン上映の感謝を込めて、事前に映画公式Xに寄せられた質問に答えた吉沢と呉監督。一番好きなシーン、推しのシーンを聞かれた吉沢は、母親とパスタを食べている場面をピックアップ。「お母さんと大(吉沢)の今まで積み上げてきた距離感というか、溝が生まれた時期を経て全てから解放された瞬間で、ただただ親子になっている。完成した作品を見てグッとくるものがあった。手話も大変でテンポ感も含めて練習したので、そこが良い感じのシーンになっていたのもうれしかった」と述べた。
呉監督は“泣けるシーン”として、上京し就職活動をする大の面接シーンを挙げた。好きな本を「ハリー・ポッター」だと適当に答えたりした面接帰りの場面だ。呉監督は「私には息子がいるので、その息子が都会に出た時を想像して重ねてしまいウルウル。間違いなく(面接に)落ちているのに、吉沢さんがニヤニヤしながら帰っていくのも上手い」。
これに吉沢は「僕も若い頃にオーディションで映画が好きだと言いながらも、深掘りされると何もできないという事も経験しているので…。深く考えずに好きと言ってしまう大の感覚は理解できたので、わりとすんなり楽しくできたシーンでした」と劇中の大に共感していた。
また劇中、昭和と平成の時代を表す工夫についての質問に呉監督は「前半はカラフルにして後半をブルーのトーンにしている」と回答。一方、吉沢は劇中で見せた絶妙な髪型に触れて「僕は昭和を知らない世代なので、大が20歳の時の髪型のカツラをかぶった時は『これ本当?成立しています?いけますか?』と不安だった」と今だからこそ話せるエピソードで場内を爆笑させていた。
最後に呉監督は「世界中、日本中でたくさんの方が見てくださっている中で、まだまだ上映も続きますので身近の大切な方に本作を薦めていただけたらうれしいです」とさらなるヒットを期待。吉沢も「公開から2カ月たった後でまたこうして皆さんの前に立てるのは貴重な経験で本当にうれしいです。これだけの方々に作品を愛していただき、中には10回以上見てくださる方もいたりとかして…。本当に一人でも多くの方々の心に本作が残って、皆さんの人生の中に寄り添う作品になってくれたらうれしいです」と本作を支える多くの観客たちに感謝していた。