【漫画】“フツウ”とは何なのか…独りぼっちの殺し屋と狩りが苦手な山猫を描いた漫画に「涙涙の作品」「せつなくて、いとおしい」の声

2024/12/06 08:30 配信

芸能一般 インタビュー コミック

『注文の叶う料理店』が話題(C)藤田三司/小学館 

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、少年サンデーで読み切り掲載され話題となり、現在はサンデーうぇぶりに掲載中の藤田三司さんが描く『注文の叶う料理店』をピックアップ。

サンデー新人漫画家さん応援の公式Xアカウントが2024年10月30日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、4万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、藤田三司さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

“フツウ”が欠けた殺し屋と狩が苦手な山猫

『注文の叶う料理店』(2/32)(C)藤田三司/小学館 

職業・殺し屋の主人公は、殺しの仕事が終わるたびに「ごちそうさまでした。」という。そんな彼を周りの人たちは理解できず遠巻きに接していた。

ある日、繁華街を歩いていた主人公は「山猫軒」というお店を見つける。店に入ると、そこに待っていたのは本物の大きな山猫だった。

しかし、驚きも逃げもしない主人公に山猫の方が戸惑ってしまう。オムライスを平常心で注文する主人公に山猫は作れもしないオムライスを提供する。そして、ここは人を襲うための罠であることを山猫は白状。さらに山での狩りが下手であるため山を下りてきたのだと話す。そんな山猫に、主人公は人の殺し方を教える。自信がないという山猫に、オムライスの味がする料理が作れるなら狩りもできる、と優しく声をかけるのだった。

後日、主人公が「山猫軒」を訪れると、人間を狩れたと嬉しそうに報告する山猫。その後も少しずつ狩りのコツを教え、狩りが上達すると共に山猫の作るオムライスも上達していく。そしてついに山猫は店の外での狩りに成功するのだった。

さらに後日、いつものように店に訪れた主人公は、血の匂いをいつも以上にまとっていた。オムライスがすきなのだ、と珍しく自分のことを語る主人公は怪我をしており、その場で倒れてしまう。そして、自分にはフツウが欠けていた、独りだったのにこの場所と山猫は違った、と語る。そんな主人公を助けたいと山猫は涙ながらに言うと、人間(みんな)と同じ味か確かめてほしい、と山猫に頼むのだった…。

作品を読んだ読者からは、「今まで読んできた短編ものの中で1番心に響いた…」「ずっと残りそうな作品」など、反響の声が多く寄せられている。

作者・藤田三司さん「これを超えられるような作品を作りたい…」

『注文の叶う料理店』(32/32)(C)藤田三司/小学館 

――『注文の叶う料理店』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。

まず担当さんと「食うもの・食われるもの」の関係性って面白いかもねという話をしていて、街に化物が住んでて人を食べているという骨子ができました。

そこから「人喰いの化け物の話なら注文の多い料理店が好きだな」

「ごちゃついた街の背景が描きたいから舞台を新宿・歌舞伎町にしよう」

「食われる人間は逆に人を殺している殺し屋にしよう」とプロットを詰めていきました。

――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。

殺し屋の表情です。

感情を口に出さないタイプなので、表情が乏しいながらも「こう言われて嬉しかった」「悲しかった」ということがわかるように描きました。

――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

たくさんありますが、やはりラストシーンですかね。

山猫の注文も殺し屋の注文も叶いました。空は晴れていてどこまでも綺麗です。

――今作で登場する山猫は、人を襲うという怖い一面を持ちながらもどこか憎めない魅力があります。藤田さんは漫画を描く際、ストーリーやキャラクターの着想をどういったところから得ることが多いですか?

山猫に関しては「普通の山猫は狩りをして生きてるよね、じゃあ料理店で待ち構えてる山猫には何かあるんじゃないかな」というところからキャラクターを広げていった気がします。

他の作品でも題材や舞台から着想してキャラクターを詰めていくことが多いです。

――藤田さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。

もちろんこの「注文の叶う料理店」はお気に入りの読み切りなのですが、これを超えられるような作品を作りたいです。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

読んでくださる読者の皆さんには感謝しかないです!

来年こそ新連載など、いいお知らせができるよう頑張ります!