――単独ライブがここまでスケールアップできた理由を挙げるとすれば、どういう点でしょうか。
森田:単独ライブに関しては、演出をしてくれている(マンボウ)やしろさんの存在が大きいです。あの人が形を作ってくれることで、見に行くことが恥ずかしくない公演になっていて、見に行くことがステータスになる公演になっている感じなんです。それはめちゃくちゃ助かっています。チケット代に見合う内容にしてくれてますから。
――ステージ演出とか含めてお任せできると、自分たちのやるべきこと、ネタづくりとかに集中できますよね。
森田:そうなんです。かなり自分たちの負担が減っています。
――5月に単独ライブのツアーが始まるとすると、ネタづくりはいつ頃から始めるんですか?
森田:本当は10月とか11月くらい、今くらいの時期からソワソワするんです。性格がズボラなので「まだ大丈夫かな」という感じで年が明けてしまい、正月はガッツリ休んで、「あれ?まだ1本も上がってない」と焦り始める…という感じです(笑)。
毎年「次は早めに取り掛かろうな」と言っているんですが、結局同じ時期からのスタートになってしまっていたので、今年は今くらいから取り掛かろうとしています。今日も作家とネタ出しみたいな打ち合わせを喫茶店でしてきたんですけど、「まだなぁ、言うても」という感じで、取り掛かり始めたとはいえ、勝手に心に余裕を持ってしまっていて(笑)。
それはもう、この世界でしか生きられない人間のズボラさが出ていますね。ただ、「ラッキー7」よりは取り掛かりが早いです。
――「ラッキー7」も大盛況でしたが、2023年と比べての変化といえばどういった点でしょうか?
森田:年々、ラストコントのブクロの感じなどで「お客さんがちょっと期待しているのかな?」と感じますね。前回の「すご六」の「タネ飛ばし」などのサイコパスな感じがウケていましたし、「ラッキー7」もラストコントの「憧れのおじさん」も期待値が高い感じがありました。
東ブクロ:そうですね(笑)。お客さんの熱量は年々高くなっている感じはします。もちろんこれまでもすごく盛り上がってくれていますし、楽しんでくれているのは伝わってきています。しかし一方で、その勢いが年々すごくなってきているというのも感じるんです。
ありがたいことにチケットが取りにくくなったり、競争も激しくなってきている。「取ろう」という意識を持って抽選に応募してくださって、本番までのワクワクが高まっているから本番当日の熱量がすごいのかなと…。「笑いたいんやろうな」というお客さんの気持ちは去年よりも強く感じました。
森田:オープニングで明転した時の雰囲気が、昔と違うんです。ザワザワ感というか(笑)。ただザワザワ感が強いと浮き足立った感じになってしまうと思うので、そこは僕らが抑えようというか。「ザワザワすなよ。浮き足立つなよ」と少し圧をかける感じはあります(笑)。
――コロナ禍以降、ライブや舞台などを配信するという選択肢もあったと思います。
森田:「ラッキー7」も千秋楽だけは配信しました。生で見たいというのもわかりますけど、時代的に「配信の方が楽ですよ」とは言いたいです(笑)。自分も誰かの公演を見に行きたいと思いますけど、「あ、配信あるんか。じゃあ配信で見るか」という思考に。コロナ禍を経て自分もそうなってきているくらいですから、生で見てもらえるのがありがたいですけど、配信で見てもらえるのもありがたいです。
チケット買って会場まで足を運んでくれる人は本当にありがたいと思いますけど、配信で見る人も配信チケットを買って見てくれるワケなので。僕らとしてはめちゃくちゃありがたいです。
――さらに、DVDというパッケージを買ってくれる人というのは。
森田:これを買ってくれるのが一番の、真のファンですよ!(笑)。真のファンと思われたかったらぜひ買ってください!パッケージのデザインも集めたくなるようなものにしてます。
単独ライブはそれぞれタイトルに数字が入っていて、パッケージは毎回色を変えてたりしています。並べておくのもいい感じだと思うんですよ。「ラッキー7」のパッケージもかっこいい感じに仕上げてもらってるので。
――タイトルに毎回数字が入ってるというのは、「会心の一撃」のときからそういうふうにしようと決めていたのでしょうか?
森田:単独ライブのタイトルをつけるのが一番難しいというか、めんどくさいんですよ(笑)。ちょっとおしゃれなタイトルを、コントの人って付けがちじゃないですか。そういうのは小っ恥ずかしいタイプなので、数字の「一」から順番に入ってればいいかって感じで付けています。
すると段々、次のライブタイトルをファンの人たちが予想してくれるようになったんです。「ラッキー7」の場合は“みんなが絶対に予想せんやろうな”という意図で付けました(笑)。数字の「7」といえば真っ先に出てくるのが“ラッキー7”ですよね。灯台下暗し(笑)。「こんなベタでダサいタイトルにせんやろ」っていうファンの考えの裏をかいた感じですね。
東ブクロ:一番は“タイトルの引き”もありますが、オープニングがしっくりくるのがライブ的にもいいんだろうなと思うんです。今回もオープニングが良かったし、そこがリンクするときが気持ちいい。お客さんも没入しやすいと思うので、「ラッキー7」は良いタイトルだと思いました。
――今後もまだまだスケールアップしていくと思いますが。
森田:劇場でのコントを見たことがなく、YouTubeしか見ない人もたくさんいると思います。でも「こんなんもやってるよ。一回、劇場に見にきたらどうですか?130万人の方々?」って思いますよね(笑)。
――YouTubeチャンネルの登録者数が約136万人なので。
森田:そう考えると3万席って“まだまだやな”と。ありがたいんですけどね。
東ブクロ:DVDを買ってくれる人は、実際に見にきてくれた人とか配信で見て「面白かったからもう一回見てみたいな」と思ってくれた人だと思うんです。でもDVDが店頭に並んだとき、「あ、さらばのDVD出てるんや」といって手に取ってくれる人がいたらうれしいですね。それで単独ライブをやっているのを知ってくれたりすると、それはそれで来年にもつながるんじゃないかなと思うので、ぜひ。
森田:ジャケ買いしてくれてもいいですよ。ガイ・リッチー監督の映画作品みたいなジャケットになっているので(笑)。このインタビューを読んで興味持った人も、ぜひ手に取ってもらえたらなと思います。
◆取材・文=田中隆信
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