特撮テレビドラマ『仮面ライダーゼロワン』にて、仮面ライダー滅役で注目を集めた俳優の砂川脩弥。そんな彼が、11月22日に公開したアシックスジャパン ショートドラマシリーズ「シゴトはもっと楽しめる」WEBショートドラマ「ワンチーム、ワンホーム」で、家を作る現場に赴任する新人社員・陣内を演じている。端正な顔立ちから「クールに見られるのですが、全然そんなことないんです」とはにかんだ笑顔を見せた砂川が、集団の中で意識していることや、俳優業への思いを語った。
――中村獅童さん、兒玉遥さんとの撮影はいかがでしたか？
砂川：獅童さんは以前1度ご挨拶をさせていただいたことはあったのですが、お仕事は初めてで。やっぱりオーラが半端ないというか、とても格好いい方だなと思いました。児玉さんは、今回初めてだったのですが、僕と同じ空気を感じるというか(笑)。すごくきれいな顔立ちなので、クールな方なのかなと思ったのですが、意外とフワッとしていて(笑)。僕と同じような空気を纏っているなと親近感がわきました。
――砂川さんも端正なお顔立ちできりっとしたイケメンですが。
砂川：僕も最初は怖い人なのかなと思われるみたいです。でもしゃべってみたらだいたい「フワフワしているね」と言われます。
――すごく柔和な印象です。
砂川：そうなんです。全然クールじゃないんですよ(笑)。
――とても笑いがある現場だったとお聞きしましたが、砂川さんが集団のなかで仕事をするうえで、大切にしていることはありますか？
砂川：視野ですね。お芝居の現場に入るとどうしても「頑張らなきゃ」って自分のことばかり考えてしまいがちなんです。でも今回の現場で獅童さんを見ていて感じたのですが、やっぱり作品ってみんなで作るもので、周囲とのコミュニケーションってとても大切だと思いました。僕も共演者だけではなく、スタッフさんを含めて視野を広く持って接することを心がけています。
――そのなかで楽しく仕事をするためにやろうとしていることはありますか？
砂川：好きであるということですね。時間に追われてどうしてもテンパってしまうこともあるのですが、そのときは「この仕事が好きなんだ」としっかり思うことで、どんな大変なことでも楽しいと感じられるんだろうなと思います。
――俳優業の楽しさはどこにありますか？
砂川：誰かの人格になっていろいろなことを発散できることです。とかく世の中ってあまり自分の思っていることを言える機会ってないじゃないですか。特にいまの時代は、SNSなどの普及でさらに難しくなっているなか、役を通じて思う存分気持ちを爆発させるというのは、とても楽しいです。
――砂川さんはあまり自分の気持ちを出せないタイプなのですか？
砂川：プライベートでは全然言えません(苦笑)。結構人の顔色をうかがってしまうんです。なので自分とは違う役を演じることで、いろいろな思いを昇華できるというのは、すごく楽しいです。
――今回は中村獅童さんという大先輩とご一緒するシーンが多かったですが、普段先輩と接するとき意識していることは？
砂川：距離感を大切にしています。経験も豊富な先輩なので、しっかりアドバイスいただいたことは受け入れつつも、でもすべて受け取ってしまうと、自分じゃなくなってしまうので。そこは常に自分のなかで「これは取り入れるべき」「これは違うかもしれない」と一つフィルターを設けるようにしています。でも皆さんとても素敵な方なので、多くのことは受け入れています。
――後輩と接するときは？
砂川：なるべく自由にしてもらうように心がけています。皆さん個性がしっかりある方なので。
――先輩に「ご飯に連れて行ってください」と気軽に言えるタイプですか？
砂川：言えないです（苦笑）。結構借りてきた猫のようになってしまいます。人見知りなんですよね。今回、久々に映像の仕事でめちゃくちゃ緊張していたのですが、獅童さんからいろいろ話しかけてくださって。優しい先輩方ばかりなので、少し甘えちゃっています。でも自分が先輩になったときは、少しでも緊張を和らげられるような存在にはなりたいです。
――獅童さん演じる坂井はデスクに辞表を忍ばせています。砂川さんはこのお仕事を辞めてしまおうと思ったことはありましたか？
砂川：お仕事が本当にない時は、1回本気で辞めようと思ったことはありました。実家にも連絡しました。でもそのときタイミングよく『仮面ライダーゼロワン』のお仕事が決まって。そこからお仕事が軌道に乗ってきたのですが、あのときは「もうこの世界ではダメなのかな」と、ある意味で重大決心をした時期でした。
――そこからは辞めようと思ったことはないですか？
砂川：いまは辞めたくないです。ずっと続けていければと思っています。
――砂川さんにとって俳優業へのモチベーションはどんなところにありますか？
砂川：俳優業に限らず、僕はできなかったことができるようになることが一番うれしいんです。どんな職業も同じだと思いますが、最近は特に俳優業をしていて「全然できなかったな」とか「もっとこういうお芝居をしたいな」という気づきがどんどん出てくるんです。
――俳優業は、なかなか成果が分かりやすく見えないお仕事だと思いますが、どんなとき達成できたなと感じますか？
砂川：僕は一緒にお芝居をしていて、例えば泣くシーンで、相手の方の演技によって泣かせてもらったり、逆に怒らせてもらったり……。そういうときにすごいなと感じるんです。だから、僕自身も一緒にお芝居をした方から「砂川の演技で本当にイラっとしたよ」とか言ってもらえると、少しはできたのかなと思えるんです。
――これまでお芝居したなかで「この人はすごい」と影響を受けた方はいますか？
砂川：作品ごとにいます。今回の獅童さんや兒玉さんにも感じました。本当に1作品ごとに影響を受ける方はたくさんいるのですが、僕が「与えるお芝居」を志すきっかけになったのが、崎山つばささんなんです。兄弟分のような役柄をやっているとき、本気で泣かしてもらった。すごく印象に残っています。あとは、『仮面ライダーゼロワン』で言えば、高橋文哉くんとは、バチバチにやり合う関係性だったので、彼によって本気で怒って、本気で叫ぶような感覚にさせてもらいました。
――今作を経て、どんなことを吸収しましたか？
砂川：獅童さんとご一緒させていただき、やっぱり雰囲気に押しつぶされてしまいそうになった瞬間がありました。そういうことがないようにもっといろいろ経験を積みたいです。大御所と呼ばれる方とも共演して、ぶつかって成長していければいいなと思っています。
（取材・文：磯部正和）