いつも笑顔で楽しそうに”苦労”をしている彼らを見ると、憂鬱が軽くなっていく「ザ!鉄腕!DASH!!」/いつもテレビをみています#30

2024/11/28 18:30 配信

バラエティー コラム 連載

「ザ!鉄腕!DASH!!」イラスト=渡辺裕子

テレビ大好きイラストレーター・渡辺裕子さんが、お気に入りの番組をかわいいイラストで紹介する連載「いつもテレビをみています」。第30回は「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)をチョイス。

いつも笑顔で楽しそうに「苦労」をしている


農作物を作り、島で暮らし、海に潜る。

どれもアイドルがやるようなことではない……それをずっと続けている長寿番組「ザ!鉄腕!DASH!!」。なんと先日30年目に入ったそうで、おめでとうございます。

明日からまた仕事だ、あーあ、と憂鬱になってきている日曜の夜。ふとテレビをつけると、彼らが自然の中にいる。暑いのに新宿のビルの屋上でミツバチの世話をしたり、麦を刈り取ったり、海で獲ったウニをどうやっておいしい食べ物にするか考えている。どれも「労働」なのに、「楽しい労働」になっている。いつも笑顔で楽しそうに「苦労」をしている。

手間をかけずになんでも手に入るこの便利な時代に、「わざわざ」を選んでゆっくりじっくり時間をかけ、たいへんな思いをして何かを作り上げる彼らを見ると、憂鬱が軽くなっていく。コンビニで買ってレンジで温めればすぐにおいしいごはんが食べられるけれど、これを簡単に食べられるように、いろんな人たちがいっぱいがんばってることにも思いをはせる。

どこか遠くに行きたいな、と思った日曜の夜に


長く続いている番組だから、その間には、深く触れあった人たちとの別れも訪れる。信じられないような悲しいアクシデントも起こる。けれどそれに負けずにコツコツとさまざまなものを育てているうちに、また新しい出会いがある。

初心者として人生の先輩に教わる立場だったメンバーが、新しくやってきた若い人たちに自分の知っていることを教える場面が増える。けれど新しいことを始める時は、日本中のベテランの人たちの教えを聞きに行く。こんなに長くやり続けても、知らないことがまだまだたくさんある。勉強って、実は楽しいことなんですよね。

いろんな職業の人たちへの敬意と人々とのつながりを見せてくれる良い番組だけど、お説教くさくならず、笑わせたりハラハラさせたり、あくまでもエンタメですよ、というスタンスなところもいいなあと思います。


ずっとこのまま番組が続いて、メンバーみんなが村の長老になり、そこへ若い人が次々訪れて教えをこうような、物語みたいな番組になって100年くらい続いたらすごいなー。未来に、もっともっと技術が進んで楽にいろいろなことができるようになっても、この番組の中だけでは「楽しい苦労」をしていそう。

日々の生活の大変さにちょっとため息が出て、ああどこか遠くに行きたいな、と思った日曜の夜に、村や島へ連れて行ってほしいです、これからも。

■イラスト・文/渡辺裕子

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