赤空が遺した最後の一振りを求め、青空の営む刃物屋を訪れた張。最初は気さくだった張だが、青空がその刀の存在を否定すると、息子の伊織(CV:田中貴子)を刀の鞘に引っ掛けて天高く掲げるなど、脅迫めいた言動で青空を追い詰めていく。伊織を心配した青空の妻がたまらずに刀の在処を喋ると、張は伊織を連れたまま、刀が奉納されているという白山神社へと向かうのだった。その直後、青空ともう一度話そうと刃物屋へやってきた操は、伝書鳩を使って現状を葵屋へ通達。報せを受けた剣心は、念至の制止も聞き入れずに白山神社へと飛び出すのだった。
ここでは張の剣技が初披露された。伊織を鞘に引っ掛けて、鞘ごと真上へ放り投げて抜刀し、落下する鞘に再び刀を納めるという「逆中空納刀(さかさちゅうくうのうとう)」という技で、張曰く、これができる剣客はそうそういないとのこと。張はその直前にけん玉に悪戦苦闘する様子が描かれていたこともあり、SNSでは「けん玉は下手なのにそれはできるんかいw」「アニオリのけん玉シーン最高!」などの声が多数寄せられていた。そして極め付けは、伊織を助けようと向かってきた青空の妻を、凄まじい速さの剣撃で斬るフリをするシーン。まず右手に持っていた刀を空中に投げ、その間に腰に差していた別の刀を抜刀し、数回の斬りつけを行ったのちに納刀、さらに落下してくる刀を掴むという芸当を見せた。スローモーション&無音という演出も相まって、てっきり青空の妻が斬られたと思ったものの、実際に斬ったのはけん玉だけ。気さくで飄々とした態度とは裏腹に、凄まじい狂気を感じさせてくれる一幕だった。
白山神社にやってきた張を待っていたのは、葵屋から凄まじいスピードで駆けつけた剣心だった。いくらかの問答の末に始まった剣心と張の対決は、剣心が鞘による「龍巻閃」と「龍翔閃」を決めて一方的な展開に。しかしそれでも立ち上がった張は、「少しふざけすぎてたようや」と呟くと、伊織から先に殺すと剣心を挑発。この発言にようやく殺気を放った剣心に対して、張は上着を脱いで「こっからが真骨頂や」と、不敵な笑みを浮かべるのだった。
ついに始まった十本刀・張との対決。そのファーストラウンドは、逆刃刀の使えない剣心が圧倒したように見えた。先ほど青空たちの前で凄まじい剣技を披露した張だが、それでも剣心のスピードの前では歯が立たなかった。張もまだ本気を出していないとは言え、志々雄真実の切り札である十本刀を相手に、鞘のみで軽くあしらってしまえる剣心はさすがの一言だ。またこの戦いでは、張の使う刀にも注目したい。新井赤空が作った初期の殺人奇剣である「連刃刀」は、一本の柄から二本の刃が生えているという奇妙な形状で、この刀で斬られた傷は縫合が難しく、やがて壊死させてしまうという代物。さらに剣心の「龍翔閃」をガードしたのは、腰に巻きつけて装備していた赤空の後期型の殺人奇剣だった。そんな殺人奇剣の数々に魅了された張ももちろん異常者だが、それ以上に“人を殺す刀作り”に傾倒していった赤空のマッドサイエンティストっぷりも存分に感じられる。これにはSNSでも「赤空さん変な刀作り過ぎだろw」「そりゃ青空も賛同できないわけだ」などの声があがっていた。さて次回第33話(第二期9話目)「禁忌の抜刀」は11月28日(木)放送予定。
◆文/岡本大介
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