本作におけるメインテーマは“階級闘争”。映画「パラサイト 半地下の家族」では“家”、本作では“列車”という分かりやすい物理的な構造を舞台に、ポン・ジュノ監督は人間社会の縮図を描いているのだ。
先頭車両では接客係が付き、デザートまで用意された豪華な食事や学校まで完備されているという贅沢ぶり。しかし“テイリー”に配られる食事はプロテインバーのみで、日々労働力を搾取される“テイリー”の中には自殺者も出てしまう始末…。第1話でレイトンが呼び出され3号車に行き、久しぶりに光を浴び、パンとスープを与えられ、噛みしめるように食事をおかわりをねだるシーンからは、“テイリー”が普段どれほどひどい扱いを受けているのかが伝わってくる。
また、イヴァンが自殺した直後に画面が切り替わり、列車内の生けすで食料を調達し酒と豪華な食事を楽しむメラニーらが映し出されるなど、本シーズンでは格差を描く演出が数多く散りばめられている。「パラサイト 半地下の家族」のときも半地下の家族と豪邸で暮らす家族の生活ぶりが対照的に描かれていたが、本作でもポン・ジュノ監督は“社会にはびこる格差問題”に真正面から切り込んでいるように感じる。
そして、謎多き接客係長・メラニーも、レイトンに加えて本作のキーパーソンだ。彼女は乗客によって引き起こされるトラブルに対応したり、列車を統制するウィルフォードと唯一コミュニケーションを取れる存在。いわば“中間管理職”のようなメラニーだが、実は彼女は大きな秘密を抱えており、物語後半ではこの秘密を巡って一波乱が起こる…。
また、スノーピアサーに関する“ある秘密”を知ってしまったレイトンは、車内の刑務所に収監されてしまうのだが、周囲の協力により決死の脱出劇を試みる。この手に汗握るスピーディーな展開は、シーズン1における見どころの一つと言えるだろう。
“列車内で起こる階級闘争”は映画版と同様の設定ながらも、全く新しい物語に仕上がっているドラマ「スノーピアサー」。最後まで何が起きるか分からず、濃密なエンターテインメント作品となっている。
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