――これまで取材で最も驚いたことは?
ゲームを構築するうえで、景色や街だったり、さまざまなものが必要になるのですが、それらを全て作ろうとすると時間もお金も容量もかかってしまう…。だから、なるべく数を抑えて、その中でどれだけ話を展開できるかといった“限られたものの中でゲームを生み出す工夫”にとても驚きました。そういうものの作り方をされる中で生まれたアイデアだったり演出だったりに、私は心を動かされて、『ゲームって面白いな』と思ってるんだなという発見がありましたね。毎回お話を聞いていて、クリエイターさんたちの工夫の力に感動してしまいます。
――連載を読んでいて、クリエイターの方々は柔軟性や発想力みたいなものがずば抜けている印象を受けました。
そうなんです! それはライブにも通じる発想の仕方だなと思いました。私たちも限られたステージや時間の中で、どうやってファンの皆さんに喜んでいただけるかということを常に考えているので、フィールドは違えど近いのかなと思います。
――ゲームが実際にのっちさんの音楽活動で活きた部分はありましたか?
ダイレクトに活きた部分は…ないですね(笑)。でも、ゲームキャラクターの動きや歩き方を真似することはあります。スタイルがいい女性のキャラクターがプリプリ歩いてて、そんな歩き方をする人はいないけど、それが実際にできたら魅力的だなと。「NieR:Automata」の2Bちゃんは、とくに動きが可愛くて魅力的だったので、かなり研究しました(笑)。ゲーム内のエモート(キャラクターがダンスやアクションなどで感情表現をして、プレイヤー同士がコミュニケーションを取るための機能)で可愛いなと思うものがあったらちょっとその仕草を意識することもありますね。
――アーティストとして影響を受けるほどにゲームを愛されていますが、のっちさんにとっての連載はどんなものになっていますか?
この連載を始めるぞってなった時に、文字だけでゲームのレビューを書くのかなと考えていたので、まさかゲームクリエイターの方々に会いに行く連載になるとは思っていなかったんです。私は普段あまりお家から出ないインドア派で、人とお話するのも得意ではないので、その点は少し不安でした。誰かにお話を聞くということ自体が私に取って大きな変化ですね。前よりも相手の目を見て話せるようになりましたし、そういう意味でもこの連載に鍛えられてます(笑)。
――取材をする際に意識していることはありますか?
取材させていただくときは、そのゲームを実際に遊んで、好きなところとか気になったところとか印象的な部分をメモします。そのメモを見返して、気になったことを質問するようにしています。皆さん物腰が柔らかくてお話上手なので、その雰囲気に助けられて、スムーズに質問できている部分も大きいです。あとは好きだということを直球で伝える。だから、切り込んでいこうみたいなことは考えないようにしています。私は音楽畑の人間なので、ゲーム業界に取材に行くときには、迷惑がないようにということを一番に念頭に置いてます。
――今後お話を聞いてみたいゲームクリエイターの方はいますか?
これまで大きな会社や大きなタイトルに携わった方々に取材させてもらうことが多かったので、インディーズゲームを作っている方のお話を聞いてみたいです。今は一人でゲームを作って、そのインディーズゲームがバズって人気になることも少なくないので、ぜひ頭の中を覗いてみたいですね。あとは超不定期連載なので、その不定期さはこれからも続けていきたいです(笑)。
――(笑)。最後に、今回の書籍を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージを。
初めて一人で持った連載でもあり、初めて一人で出版する書籍でもあるので、ゲームが好きな方々はもちろん、あまりゲームを通ってこなかった人にもぜひ手に取っていただきたいです。ゲームだけでなく、働き方のヒントや好きなことを仕事にするとどうなるかなどの興味深いお話も盛りだくさんです。人生のいろんなヒントが詰まった本になっていると思うので、何か少しでも皆さんの糧になればうれしいです!
取材・文=戸塚安友奈/撮影=玉井美世子
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