剣心の言葉に心を揺さぶられた青空は、神社に奉納されていた新井赤空(CV:中井和哉)の最後の一振りを取り出し、それを剣心に託す。刀を受け取った剣心は、人斬りに戻ることを恐れて刀を抜くことを躊躇うものの、伊織を狙った張の攻撃を阻止するため、新たに手にした刀で飛天御剣流「龍巻閃・旋」を決める。ついに「不殺」の誓いが破られたかに思われたが、直撃を喰らった張はまだ生きていた。赤空最後の一振りは、不殺の「逆刃刀」だったのだ。
ここでは剣心と張のクライマックスバトルが見どころ。張を挑発して攻撃を誘い、素手の間合いに入って一足飛びに肘鉄を食らわせる剣心もさすがだが、それでもなお立ち上がってくる張のタフさも地味にすごい。それでも、ひとたび剣心の手に刀が渡れば実力の差は歴然で、最後は張の攻撃を全て見切っての貫禄勝ちとなった。この最後の攻防は、カットごとに作画のタッチやエフェクトが変わるなど、クライマックスにふさわしいシーンに仕上がっており、これにはSNSでも「かっけー!!テンション上がる!」「剣心の動きカッコ良すぎ!」などの声が寄せられていた。
赤空が作った最後の一振りには、辞世の句とも言える言葉が刻まれていた。それは、たとえ子供に恨まれようとも、孫の時代のために刀を作り続けるという、赤空の複雑な気持ちを綴ったものだった。赤空は幕末の動乱の時代において、平和な時代の訪れを祈りながらも、刀匠として殺人剣を作る道を進むしかなかったのだ。この最後の一振りは、そんな自身への悔恨と未来への希望を託したもので、これこそが「逆刃刀」を超えた「逆刃刀・真打ち」であった。青空からこの刀をもらってほしいと言われた剣心は、かつて赤空から「逆刃刀」を受け取った過去を思い出すのだった。
負けてもなお挑発を繰り返す張と、それにムカついた巻町操(CV:山根綺)が「成敗!」とヌンチャクで止めを刺すシーンなど、緊張感のあったバトル後だけにちょっとしたコメディシーンが印象的。また赤空が秘めていた平和への願いも明らかとなったが、孫の時代のために作った「逆刃刀」が、実際に孫である伊織を守る結果に繋がったことは、視聴者としてもどこか救われる展開でもあるだろう。一方、剣心が赤空から「逆刃刀」を受け取る過去シーンでは、情緒たっぷりな夕景とBGMが素晴らしく、改めて剣心が歩んできた道がいかに困難なものだったかが伝わってくる。これにはSNSでも「思わず泣きそうになった」「なんか心に染みる」などの声が寄せられたと同時に、赤空の声に「某三刀流かと!」というリアクションも多く見られ、賑わっていた。さて次回第34話(第二期10話目)「逆刃刀 初撃」は12月5日放送だ。
◆文/岡本大介
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)