コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、webアクションで連載中の漫画『林檎の国のジョナ』の第二話をピックアップ。
本作が林檎の国のジョナ【公式】のX(旧Twitter)アカウントに投稿されると、2万件の「いいね」と共に多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、作者の松虫あられさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
体型コンプレックスを持つアリス。ズケズケとものを言う母親。息苦しい毎日。別に死にたいわけじゃない…。ただ消えたい…。ある日青森の祖母から自宅にリンゴが届いたことをきっかけに、アリスは祖母の家に行くことを決める。
青森の祖母の家で待っていた、リンゴ農家の青年との出会い。アリスは青森で自分の居場所を見つけられるのか…。
生きづらさを抱える人たちに贈る再生の物語に「すごく共感できる」「温かい空気が好き」など多くの反響が寄せられている。
――今回ピックアップする『死にたくはない。消えたい。』はwebアクションで連載中の『林檎の国のジョナ』第2話です。『林檎の国のジョナ』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
『自転車屋さんの高橋くん』の連載のペースに慣れ、そんなときに他社の編集さんに声を掛けられ何か新しい漫画を描こうと思いました。
自分が服が好きなので服が好きな女性主人公を描こうと思い、その時自分自身の事で色々と悩んでいたこともあり、テーマを「満たされなさ」にしようと思いました。
主人公アリスは可愛い服が大好きでアパレルで働いたりしているものの、母親からの体型いじりや過干渉、先輩からの「華奢見え」の提案に日々小さなストレスを抱えています。
その満たされなさから「華奢見え」とは真逆にお菓子をやけ食いしてしまったりします。
細い人が美しい、そういう意識に誘導されながら日々を過ごしていくうち、自分より太った人を見つけて安心してしまっている自分に気づき、余計に自信を失います。
何故自信を失うのか。自分自身が恥ずかしいのです。自分が恥ずかしい存在だから、それゆえの「消えたい」なんです。
そしてこの「消えたい」から環境を変えるべく青森に行き、リンゴ農家の青年正市に「ジョナ」というあだ名をもらい、そこからは急展開で小学校の適応学級の先生になるのですが、一見このジョナとリンゴ農家の青年正市と、適応学級に来ている子供達の状況は違うように見えるものの「満たされなさ」を抱えているのはみんな一緒です。
お互い満たされなさを抱えながらどう接していくかをぜひ見届けてほしいです。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
「見る」という点ではジョナの来ている服や青森の背景の作画や私の夫監修の津軽弁などこだわった点をじっくり見ていただけたら。
あと、津軽弁のセリフの注釈はあえて最小限にとどめています。一言一句分からなくとも津軽の雰囲気と登場人物の心情を感じていただけると嬉しいです!
――作品の中でとくに気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
私は基本ジョナに感情移入して描いてしまうのですが、正市とジョナは全然違うタイプなようで「ルッキズム」という悩みを抱えている点では同じなので「見た目が良い人の悩み」を想像しながら描いてます。
難しいですが正市のシーンを描くのは結構楽しいです。
――今後の見どころをお答えいただける範囲でよいのでお教えください。
2巻は正市とジョナのやり取りが中心になっていくと思います。辛いシーンもあるかもしれませんが、正市とジョナの良いシーンも沢山用意しています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
子どもから大人まで、幅広く楽しんでいただける漫画になったのではないかと思っています。
読んだ方の何かが「満たされ」れば幸いです。
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