<モンスター>最終話を前に加藤春佳Pが語る制作秘話、「ワクワクするお芝居をしてくださる」という趣里の“紅茶シーン”裏話も

第8話の紅茶シーンは趣里の実父ゆずり!?


――趣里さんの演技が超越したとのことですが、具体的にここがすごかったというところはどこでしょう。

この神波亮子という役は、脚本を読んだだけでは理解しきることが難しいのではないかと感じていました。撮影の最初の日は、監督とどれぐらい不思議な感じの人物の動きなのかなど擦り合わせるような感じで演じていって、趣里さんも感じられていたかもしれませんが、私たちもこれでいい気がするけど大丈夫かなみたいな不安が正直ありました。

そんな中、第1話の裁判シーンを撮影した時に、亮子がそこにいるというか、この人だからこうやって彼らから証言を引き出せるし、この人だから彼らを説得することができる、というお芝居を趣里さんが見せてくださって。そのときに第1話ができるのが楽しみだなと思いました。やっぱり亮子の一番いい味が出るところは法廷なのだなと、そして趣里さんでよかったなと感じた日でした。もちろんずっと思ってはいたんですけど、みんなに大声で「神波亮子すごいぞ!」と言えるくらい確信を持つことができたのは、その瞬間だったと個人的には思います。撮影初日に思えよってなっちゃうかもしれないですけど(笑)。

――加藤Pのお気に入りシーンは?

いろいろある中でも、趣里さん本人にもお伝えしたベストのシーンがあります! 亮子って、後ろ姿がめちゃくちゃかわいいなと思うんです。第4話で大学サッカー部のOBに体罰について聞き込みにいった亮子が杉浦を例として蹴るシーンのくだりで、何かを感じ取りながら、証言してくれる人の話を聞いている亮子の後ろ姿にカメラがじりじり迫り寄っていく演出があったのですが、私はその後ろ姿が一番好きなんです。亮子はゲーム好きなキャラクターでもあるので、裁判に勝ちたいというところが念頭にあったりもして、毎話毎話、案件に対してすごく積極的に取り組んでいくのですけど、そのどんどんのめり込んでいってる感じの巻き肩になっているような、ちょっと前のめりな姿勢を感じる背中というか、何かを感じている背中がすごくいいんです。

亮子って本当に表情が微細で、その表情も全部かわいらしくって、ころころ変わるのがすごく魅力的なんですけど、趣里さんは亮子の姿勢までも、とてもこだわってくださっているなと感じています。

――亮子のシーンだと、第2話のアイドルのダンス完コピや、第7話の昭和歌謡のカラオケシーンが趣里さん主演の「ブギウギ」を彷彿とさせたり、第8話の紅茶を淹れるシーンは趣里さんのお父様である俳優・水谷豊さんの代表作「相棒」(テレビ朝日系)をイメージすると話題になりました。

ダンスは、物語上アイドルの話をやっていて、説得する方法がそれだったということで、歌もスナックに溶け込んで話を聞き出しやすくするための手段でした。ここは橋部さんが書いてくださっていた部分だと思うので、どこまで意図してかは分からないのですが、趣里さんが踊れて、歌えるということは分かっている上で入っている要素だと思います。

紅茶のところでいうと、ちょっとしたユーモアを足してくださった監督の演出です。趣里さん、紅茶の淹れ方を練習してきてくださって。普通だったらバチャバチャって紅茶が飛び散ってしまってもおかしくないところを、すごく上手に淹れてくださってたっていう裏のエピソードがあります(笑)。