昨年春の開局以来、急激な成長を続けるインターネットテレビ局「AbemaTV」。今年5月、視聴数1420万回(!)を記録し話題を呼んだ「亀田興毅に勝ったら1000万円」のMCを務めるなど、同局と縁の深い田村淳に、AbemaTVの可能性、そしてテレビメディア全体の未来について語ってもらった。
「『亀田興毅―』は、いろんな番組をやってきた中でも経験がないくらいの大反響で。すごく革新的で可能性を感じさせる、夢のある一日でした。AbemaTVは、地上波のテレビ局が二の足を踏むところに率先して踏み込むし、思い付いた企画を次の週には放送してしまうスピード感がある。既存のメディアのウイークポイントを全てプラスに転じているところが、若い人に支持されているんでしょうね。開局当初に放送した『田村淳の釈明LIVE』(2016年3月)という番組も、マスコミが一方的に報じることで悪人に仕立て上げられてしまった人が釈明できる場所があったらいいなと思って企画したら、すぐに実現してくれて。梅宮アンナさんに子育て放棄疑惑を釈明してもらったんですが、情報発信が一方向になりがちなところを逆張りできるのは魅力的なメディアだと思いましたね」
そしてこの秋、AbemaTVで待望の新レギュラー番組「偏差値32の田村淳が100日で青学一直線~学歴リベンジ~」が始動する。タイトル通り、これまで学歴とは無縁に生きてきた淳が、43歳にして青山学院大学受験に挑戦。「大学受験とは何か」「大学に合格することとは?」「大学を卒業することとは?」といった命題を身をもって体験していくリアリティーショーだ。
「このタイミングで受験させてもらえることは、非常にありがたいチャンス。これを機に、勉強したかったことをもう一度ゼロからスタートして、どのくらい自分の中に落とし込めるのか。楽しみながら受験に邁進したいと思います…怖いけど(笑)」
AbemaTVのみならず、ツイキャスでのライブ配信、BSやTOKYO MXなど、地上波キー局以外の番組にも積極的に出演している彼。「地上波以外の番組に出ると、昔の深夜番組をやってたころのテンションがよみがえる」という。
「きちんと呼吸しながらテレビ作りができてるなと思うんです。『俺、こういうムチャなことがやりたくて東京に出てきたんじゃん』って。それが、いつの間にかスーツを着て、一丁前にゴールデンタイムの番組の司会とかやってる。だからここ何年か、自分の中でもちょっと矛盾みたいなものがあって、息苦しさを感じてたんですね。もちろん地上波でも『金曜★ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)とか、納得の行く表現ができる場所もたくさんあるんですけど」
娯楽の多様化が進む中で、テレビメディアの持つ可能性、そしてテレビタレントとしての自身の展望は?
「世代を問わず大勢の人たちに一気に届けるということでいえば、未だに地上波のテレビに敵うメディアはないと思うんです。ただ、“みんなに愛される番組”を作ろうという意識が強過ぎる気がして、そこでは田村淳というパーソナリティーはあんまり活きないなと。これからもマスメディアとしてのテレビが崩れることはないと思いますけど、今のテレビ局は、若い人のための新しい文化を作ろうとちゃんとやってるのか、そこに少し疑問はありますね。AbemaTVに限らず、新しいメディアが立ち上がってきたときに、敵として排除するんじゃなく、一緒に何かやれば、きっと面白い化学反応が生まれると思うんですよ。僕はマスなメディアも新しいメディアも両方好きなので、どっちにもしれっと出てる人になっていたいです(笑)。地上波以外のテレビにしか出てない人が地上波のことを語っても、説得力に欠けるでしょ? 両方出てるから、この発言にも意味があると思うんで」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)