――森さんから見た“俳優”としての金子さんの魅力は?
森:私が中学生くらいの時から数々の出演作を見てきましたし。
金子:おっと!中学生?恐ろしい…。
森:毎週ドラマを楽しみにしていた方だったので共演できて光栄です。作品を見ると、大人の男性の色気も感じますし、かっこよさも感じるんですけど、お話しするとおちゃめなんです。すごく気さくに話しかけてくださって、ありがたかったです。
金子:パンケーキの話で盛り上がるくらいですからね(笑)。
――そういうところも含めて、いい空気を作ってくれた感じですね。
森:そうですね。あ、でもパンケーキだけじゃなくて、セリフについても話したりしてましたよ。「このセリフ、修はどういう気持ちで言ってるんですか?」って聞いたり。
金子:うん。それと、さっき話した“原作にあったけど脚本に入りきらなかったセリフとか場面”についても。映像化するにあたってどうしても割愛されたのが、修が怒るシーンなんです。まりもちゃんにちょっと脅されて、めちゃめちゃブチギレて…っていう場面も脚本では違う表現になっていたりしたので、そのへんのイメージを共有してもらったり。
――“無くなったシーンの気配もどこかに残して”というのは、そういうことだったんですね。
金子:はい。修って、潜在的にオープンなキャラクターだと思うんです。だから、これだけ立ち回ってるにもかかわらず、男からも女からもそんなに恨まれてないので、人たらしなんだと思うんです。
でも、一度ペースを乱されたり、自分の領域に入られた時にすごく拒絶する人物だと思うので、その空気感だけは出したいなと思って相談してました。愛里紗と同じで、ちょっとサイコパスな部分があるんだと思います。
「アメリカン・サイコ」(2001年公開)って映画があるじゃないですか。あの主人公は人を殺してしまうんですけど、修はそこまでじゃないけどその系統かな。その修が唯一人間らしさを見せるのが怒る瞬間なんじゃないかと。
――金子さんから見た俳優・森香澄さんはどんな印象ですか。
金子:いやぁ、度胸がありますね。
森:本当ですか(笑)?
金子:この大変な業界で、勢いもありますからね。アナウンサーさんって、僕は一番関わりが少ない職業だったりするので、だから、そこから独立して俳優とかタレント業をやっていくっていうのもすごいなって思いましたし、「波に乗っていくぜ!」っていうよりも「波を起こしてやるぜ!」ってタイプだなって。
森:(笑)。
金子:SNSとかも気合い入れてやっていたり、本当に肝っ玉が座ってるイメージで、行動力、実行力が大事なのですごく勉強になりました。その世代だから出来ることなのかもしれないけどすごいなぁって思いますね。いないから言いますけど。
森:横にいます(笑)。
金子:あ、いた(笑)。撮影でもそう感じましたよ。最初の1カットを撮り終えた時に「度胸あるなぁ」って。全く迷いがない感じでした。多分、事前に準備をしっかりやっていて、本番は「出たとこ勝負でしょう!」っていうんだと思います。
――このドラマをどんなふうに見て楽しんでもらいたいですか?
金子:撮った後のモニターを見たら、映像が綺麗でした。ヨーロッパの映画のような美しさがあって、その中に物語を落とし込んでいるところがあるので、従来の日本のドラマからは、いい意味で逸脱しくれるといいなと思ってます。監督を含めて、最初から「映像化するってこういうことだよね」って共通認識があったから、僕も完成した作品を見るのが楽しみです。
森:見る人によって感想が違う作品だと思うんです。早く見てもらって感想を聞いてみたいです。
裕福な家庭の娘として生まれ、装幀家として活躍する結城愛里紗(倉科カナ)。愛里紗の夫で会社役員の結城修(金子ノブアキ)。愛里紗の友人でフリーライターの中条彩江子(さとうほなみ)。カメラマンの世良晴人(佐藤寛太)。愛里紗の夫・修と愛人関係にある玉木まりも(森香澄)。ピアニストの佐藤玲門(寺西拓人)と、その恋人でピアノバーの経営者兼バーテンダー・水無月流奈(真飛聖)。次第に各々が抱える事情が明らかになり絡み合って、意外な繋がりを見せていく大人たちの“情事と事情”を描いた物語。
「情事と事情」(全8話※1~2話は無料配信)はLeminoにて毎週木曜独占配信中。
◆取材・文=田中隆信
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