試合も決まり、厳しい練習をしながら、海里の元にも通い続けて話しかけた。しかし海里は無言のまま。そんな海里のスマホに、ゆいから「ほこ美、頑張ってるよ」のメッセージと共に動画が届いた。そこに映っていたのは、「くずぴょん、くずぴょん…」と呪文のように唱えながら練習し、ゆいたちに褒められて喜ぶほこ美の姿。ずっと表情を失っていた海里は自然とほほ笑んでいた。
にもかかわらず、ほこ美がやって来ると「ほんと、しつこいね」と言ってしまう海里。すると、ほこ美は「あなたが何度クズになろうと、私はそのたびにこうやって殴りにきます。逃げてるだけじゃ、何も変わらないから」と言い、悟と向き合うように助言した。
ほこ美は、クズな海里を殴るためにボクシングを始めた。だが“好き”という感情が生まれ、海里に対する“殴る”は物理的ではなく、閉じてしまった海里の心を呼び覚まそうとする愛そのものに。海里に出会い、ボクシングに出会って、自分は変わったと言うほこ美。そのなかで、ほこ美のまっすぐさは変わらず、いつだって熱いのだ。
悟に会い、自分の気持ちをまっすぐ伝えた海里は、カメラを持ってほこ美の試合会場へと駆け付ける。到着したとき、トラウマがぶり返しながらも頑張っていたほこ美がパンチを受けてダウンしてしまっていた。リング際で海里は「立て!ほっこー」と呼びかけ、その声でほこ美は再び立ち上がる。大歓声の中で海里の言葉が耳に届いたほこ美は、見事に勝利した。
手に汗握る白熱の試合を見事に演じきった奈緒のすごさにうなり、繊細に心の動きを表現してきた玉森が見せた笑顔もすばらしく、2人が見せた、ほこ美と海里が前に進んだ様子が感動的だった。ラストは、「前進」と名付けられた海里の写真展のシーン。ほこ美と海里のほっこりするやり取りや、海里が撮影した“パンチを決めるほこ美”のかっこよさは、この物語の締めくくりを最高のものにした。
「#あのクズ」がトレンド入りし、SNS上では「最高のラストでした」「とても清々しいラスト」「お互いがお互いを原動力に前進していく姿がかっこよかった」「みんなそれぞれの形で前進できて本当に良かった」と視聴者に感動が広まっていた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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