幕末の動乱期、“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心(CV:斉藤壮馬)が、「不殺」の流浪人となって新たな時代を生きようとする姿を描いた『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。これまで舞台や実写映画化など、時代を超えて愛され続けてきた大人気作が2023年に新アニメとして復活。2024年10月からは、第二期となる『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱』(毎週木曜深夜1:05-ほか、フジテレビほか/ABEMA・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)が連続2クールで放送。第34話(第二期10話目)は、剣心が初めて逆刃刀を振るった瞬間を描いたアニメオリジナルエピソード「逆刃刀 初撃」。(以下、ネタバレを含みます)
慶応4年、上野郊外。高熱を発して神社で倒れていた剣心を見つけた皐月(CV:小清水亜美)は、剣心を自分の家へと連れ帰り、夫の義壱(CV:間島淳司)とともに介抱する。この若夫婦は、刀を持った剣心のことを、先ごろ起こった「上野戦争」の敗残兵だと勘違いするも、身体が良くなるまで家で休むように勧め、剣心もまたその好意に甘える。その後皐月の口から、義壱が元々凄腕の岡っ引きであったこと、「御用盗」と呼ばれる強盗たちの卑怯な不意打ちにより右腕を失った過去を聞くのだった。
前回のラスト、新井赤空(CV:中井和哉)から逆刃刀を受け取ったのちの剣心の動向を描いたアニメオリジナルエピソード。まずは皐月と義壱という強烈なラブラブカップルが登場し、たくさんの猫たちとともに剣心の心を優しくほぐしてくれた。この時の剣心は「人斬り抜刀斎」を辞めたばかりで、これから自分が進むべき道に悩み続ける日々だった。そんな悩める剣心だったからこそ、明るく前向きな若夫婦や可愛い猫たちには多少なりとも癒されたに違いない。なかでも、義壱に褒められて照れた皐月が、なんとかやり返そうと「義壱さんの男前」と耳元で囁くも、素直に「ありがとう」と言われて悶える様子は愛嬌たっぷりで、これには剣心も思わず「仲良しでござるな」と口元を緩めるほど。この若夫婦についてはSNSでも「ほんと、可愛い夫婦だなw」「人前でイチャイチャし過ぎw」など、多くの声が寄せられていた。
町での買い物中、「上野戦争」の敗残兵が捕らえられている様子を目撃した皐月は、新政府軍の手が伸びてきていることを警戒し、剣心に江戸を離れたほうがいいと進言する。じつは皐月と義壱のふたりも、執拗な「御用盗」から逃げるためにこの場所へと流れ着いた身であり、逃げたとしても、どんな境遇であっても人は幸せになれるのだと説く。しかしその夜、義壱を狙い続けてきた「御用盗」が家を襲来。利き手を失っている義壱は、賊3人を相手に勝ち目がないことを悟り、皐月と生まれてくる赤ん坊のために自らの命を差し出そうとするも、「御用盗」は皐月も殺すと宣言し、襲いかかってくるのだった。
ここでは改めて、皐月と義壱の優しさ、そしてどんな状況でも「幸せ」を追い求めるふたりの逞しい人生観が垣間見える。義壱は、これまで懸命に戦ってきたならば、刀を捨てて逃げても良いと言い、皐月もまた、逃げた先にも幸せはあると語る。ただその一方で、視聴者目線で考えると素直に喜べないのも事実。あまりにも素敵なふたりだけに、「このままで済むはずがない」と、つい悲しい未来が脳裏をよぎってしまうのだ。これにはSNSでも「死亡フラグたまりすぎて辛い…」「頼むから死なないで!!」など、心配の声が寄せられていた。またこの時の剣心は、ふたりの言葉を沈んだ顔で聞くだけで、なんの感情も示していない。言い換えれば、いかに剣心が受けた心の傷が深いものかを感じさせるが、それも無理はないだろう。慶応4年と言えば、劇中での現在時点(明治11年)から11年も前の時代で、この時の剣心はまだ十代の青年である。若くして人斬りとなり、それを後悔する剣心の心の内は、現代に生きる我々が理解できるものではないのかもしれない。
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