ブラッド・ピット、61歳の誕生日 「ファイト・クラブ」から25年…第一線で輝き続ける世界的ハリウッドスターの軌跡

2024/12/18 06:10 配信

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ブラッド・ピット※2022年ザテレビジョン撮影

俳優としてだけでなく、近年は製作会社「プランBエンターテインメント」を率いる映画プロデューサーとしても活躍中のブラッド・ピットが、12月18日に61歳の誕生日を迎えた。数多ある彼が主演した作品の中で代表作の一つともいえる映画「ファイト・クラブ」(1999年)の公開から25年、今なお俳優としての存在感、そして活動の幅は増すばかり。そこで、“ブラピ”の愛称で日本でも人気を博す世界的ハリウッドスターの輝かしいキャリアを振り返ってみよう。

「追いつめられて」の端役でデビュー


1963年12月18日にアメリカ・オクラホマ州で生まれたが、幼少期にミズーリ州に引っ越したピット。ミズーリ大学ではジャーナリズムを専攻したが、卒業目前で俳優になることを決意し、大学を中退して単身ロサンゼルスへ。俳優としてのキャリアをスタートさせたのは1987年。ケビン・コスナーの主演映画「追いつめられて」に端役で出演したのが最初だった。

その後、テレビドラマなどに出演するようになり、1988年には映画「リック」で初主演。しかし、不運なことに撮影地でもあった当時のユーゴスラビアでユーゴスラビア紛争が勃発し、公開は延期。フィルムを回収して編集し終え、公開されたのは1997年のことだった。

1991年に公開されたスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスW主演の「テルマ&ルイーズ」に出演。登場する時間は多くないが、カウボーイハットをかぶった“J.D.”はとても印象に残るキャラクターで、注目を集めることとなった。そして1992年の「リバー・ランズ・スルー・イット」。ノーマン・マクリーンの小説「マクリーンの川」をロバート・レッドフォードが映画化した作品で、ピットが主演を務めた。モンタナ州の雄大な自然とフライ・フィッシングの美しい描写などが印象的なこの作品は第65回アカデミー賞で撮影賞を受賞。俳優・ピットを多くの人が知るきっかけにもなった。

1990年代中盤からは1995年に「セブン」、ブルース・ウィリス主演の「12モンキーズ」、1996年にはケビン・ベーコン主演の「スリーパーズ」、1997年にはハリソン・フォードとの共演が話題となったサスペンスアクション映画「デビル」、登山家のハインリヒ・ハラーがチベットで過ごした7年間を描いた「セブン・イヤーズ・イン・チベット」、1998年はアンソニー・ホプキンスと共演した「ジョー・ブラックをよろしく」といったふうに、ピットの代表作となる作品が続々と公開されていった。

そんな円熟期と言える時期に公開されたのが「ファイト・クラブ」(1999年)だった。現在ディズニープラスで配信されている同映画は、「セブン」のデヴィッド・フィンチャー監督と再タッグを組んだ作品。心の中に問題を抱える若きエリートの“僕”(エドワード・ノートン)の生活は謎の男・タイラー(ピット)と出会って一変する。自宅が火事になり、焼け出された“僕”はタイラーの家に居候させてもらうことに。

そして「お互いに殴り合う」というファイトにハマった2人は、ファイト目当ての男たちが集う秘密組織“ファイト・クラブ”を作った――。この作品のためにピットはボクシングやテコンドー、グラップリングなどのレッスンを受けて撮影に臨んだという。ノートンとのコンビネーションもよく、ピットにとってこの作品は大きな転機にもなった。

俳優としてだけでなく製作側に回ることも増加


以降、ガイ・リッチー監督の「スナッチ」(2000年)、ジュリア・ロバーツとの犯罪アクション作品「ザ・メキシカン」(2001年)、ロバート・レッドフォードとの「スパイ・ゲーム」(2001年)、ジョージ・クルーニーやマット・デイモンなど豪華キャストの「オーシャンズ11」(2001年)、古代ギリシアのトロイ戦争を元にした「トロイ」(2004年)など、ジャンルの枠も超えて、いろんな役を演じていった。

後に夫婦となり、離婚することになるアンジェリーナ・ジョリーとのスパイアクション「Mr.&Mrs.スミス」(2005年)、役所広司や菊地凛子も出演した「バベル」、80歳の状態で生まれて年を取るごとに若返る人生を与えられた男の一生を描いた「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008年)ではアカデミー賞の主演男優賞にノミネート。2011年の「マネーボール」でも同主演男優賞にノミネートされている。

2006年に公開されたレオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンらが出演した「ディパーテッド」はアカデミー賞の作品賞を受賞した作品だが、ピットは“製作”に名を連ねている。この作品あたりから製作として作品に関わる映画も増えていき、2010年の「キック・アス」でも製作を、ジュリア・ロバーツ主演の「食べて、祈って、恋をして」では製作総指揮を担当。他にもアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」(2016年)、ティム・バートン監督による話題のホラーコメディー「ビートルジュース ビートルジュース」などにも製作として携わっている。

俳優としても出演ペースは落とさず、2018年の「デッドプール2」にカメオ出演したかと思えば、2019年の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ではゴールデングローブ賞とアカデミー賞の両賞で助演男優賞を受賞。伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を映画化した「ブレット・トレイン」で主演を務め、真田広之とも共演。マーゴット・ロビーと共演した主演映画「バビロン」での好演も記憶に新しいところ。

2025年6月に公開予定の映画「F1」の撮影が終了したというニュースも入ってきたばかり。61歳になっても俳優、映画プロデューサーとして今後も精力的にチャレンジ作を届けてくれそうだ。

◆文=田中隆信

※記事を一部加筆しました。