“カレーライスの女”から22年…ソニン、ミュージカルで培った演技力で圧倒的な存在感「モアナ2」ではソウルフルな歌声披露

2024/12/23 07:10 配信

映画 コラム

ソニン※2024年ザテレビジョン撮影

日本では12月6日に公開されたディズニー・アニメーション・スタジオ最新作「モアナと伝説の海2」が、公開13日間で動員数146万9424人、興行収入は20億571万4690円を突破するなど、大ヒットを記録している。同作で主人公・モアナを取り巻く個性豊かな新キャラクターの一人であり、モアナを惑わせるような存在のマタンギ役の日本版声優を務めるのがソニンだ。2020年にデビュー20周年を迎えた彼女は、近年ではドラマ「大病院占拠」(2023年、日本テレビ系)や12月21日に最終回を迎えたドラマ「放課後カルテ」(日本テレビ系)に出演。さらに2025年に放送される連続テレビ小説「あんぱん」(NHK総合ほか)への出演が決定するなど、勢いが増している。今回はソニンのキャリアを振り返りながら、映画「モアナと伝説の海2」での演技についても触れてみたい。

大竹しのぶとの出会いで“舞台役者”として演技にのめり込む


1983年3月10日生まれ、現在41歳のソニンは、2000年につんく♂プロデュースのダンスボーカルユニット「EE JUMP」の一員として「LOVE IS ENERGY!」でデビュー。2002年には「カレーライスの女」をリリースし、ソロデビューを果たす。

この時、ソニンはCDのジャケット写真やプロモーションビデオで“裸エプロン”姿を披露し、大きな話題となった。それもあり、長らく「ソニンのイメージは?」と聞かれて、真っ先に“カレーライスの女”と挙げる人も少なくなかった。20周年アニバーサリーシングル「ずっとそばにいてね。/カレーライスの女“2020 Remix”」でも、当時のソニンの歌声をリミックスした、20周年スペシャルバージョンとなる「カレーライスの女“2020 Remix”」をカップリング曲として収録したほどだ。

2003年にはドラマ「高校教師」(TBS系)で上戸彩演じるヒロインの親友役としてドラマ初出演。翌年2004年にはロベール・トマの戯曲「8人の女たち」で舞台女優としてデビューし、それを皮切りに舞台女優として活動の幅を広げていくことになる。その後は、オーディションを経てミュージカル「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(2007年)、「ミス・サイゴン」(2008年)に出演し、舞台での経験が自身のキャリアにおける転機となった。

もともとモーニング娘。(モーニング娘。’24)の追加メンバーオーディションに挑戦したことをきっかけに芸能界入りしたこともあり、デビュー当時はアイドル的な立ち位置で活動していたソニン。とはいえずっと華々しい道を歩んできたかと思えばそういうわけではなく、メンバーの不祥事による事実上のグループ解散や“NGなしのキャラクター”として、過酷な番組企画に挑戦していた彼女は精神的にも不安定だった、と過去に出演したバラエティー番組で明かしている。

そんな時期に「スウィーニー・トッド」で共演した大竹しのぶとの出会いで「役に入り込む」という感覚を経験し、舞台女優として生きていく決意を固めたという。そして2012年には単身でアメリカ・ニューヨークに渡り、芸能活動を休止して留学生活を送った。

性に悩む高校生に助言する教師役からクールな刑事役まで


近年では、テレビドラマでの活躍も目覚ましく、約10年ぶりの連続ドラマ出演となった「17.3 about a sex」(2021年、ABEMA)では、恋や性の悩みを抱える女子高校生に寄り添う生物学教師に扮(ふん)し、鬼の面を被る武装集団に占拠された病院を舞台にストーリーが展開されるサスペンスドラマ「大病院占拠」では、主演の櫻井翔が演じた刑事・武蔵の警察学校時代の同期であり、劇中で起こる事件で捜査の指揮をとる刑事・和泉さくらを演じた。同作の続編として放送された「新空港占拠」(2024年、日本テレビ系)でも、さくら役を続投しており、誰が敵か味方か分からないスリリングなストーリーの中で迫真の演技を披露し、存在感を示した。

「放課後カルテ」では、松下洸平演じる主人公の学校医・牧野と森川葵演じる教師・篠谷と関わる子どもの親キャストとして第2話から登場し、病気の息子に対してやや過保護ではあるものの、温かい心を持つ母親を演じている。

そんなソニンは、「モアナと伝説の海」(2016年、ディズニープラスで配信中)の続編となる「モアナと伝説の海2」で日本版キャストとしてマタンギ役を務め、劇中歌「迷え!」では力強くソウルフルな歌声を披露している。

マタンギはモアナたちが冒険の中で出会うキャラクターで、コウモリのように舞い、モアナを惑わす。モアナが使命を背負い大きな困難を乗り越えていく上で重要なカギを握る存在だ。

同役に起用され、ソニンは「電話で合格を聞いて、道端で叫びました!全力で臨んだけど楽曲がすごく難しかったので、『まさか…!』と思って驚きとうれしさがありました」と思わず叫んでしまうほどうれしかったという。持ち前の演技力で、最後まで謎に包まれるマタンギを表現した。

さらに、2025年前期“朝ドラ”「あんぱん」に教師役として出演が決定しているなど、テレビで見ない日がないほどの売れっ子役者となったソニン。2025年には芸能デビュー25周年を迎えるということで、ミュージカル、映画、ドラマと幅広い舞台で力強く活躍する彼女の姿が楽しみだ。

◆文=suzuki

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