三村マサカズと大竹一樹のお笑い芸人コンビ・さまぁ~ず。もはや国民的芸人の一角ともいえる、芸歴36年を超えるベテランだ。しかし間違いなく大御所芸人である2人からは、どこか威厳よりも親しみやすさを感じてしまう。“隣にいそうなおじさんコンビ”さまぁ~ずの魅力を、いま改めて探っていく。
さまぁ~ずの芸歴は長く、コンビ結成は1988年にまでさかのぼる。高校時代の同級生同士でコンビを組み、初期のコンビ名は“バカルディ”。
そんな「バカルディ」が「さまぁ~ず」になったのは、2000年にTV番組「新ウンナンの気分は上々。」の企画がきっかけ。改名にあたっては「ふざけた名前にしよう」ということで、小さい“ぁ”や“~”といったワードを入れることに。ちなみにその頃は仕事が増えだしていたタイミングだったため、2人は改名について「嫌だったのよ」とのちに語っている。
バラエティーの企画で改名…という破天荒な騒動があったためか、改名を機に同業者からの覚えもよくなって仕事には繋がったそう。大ブレイク前に名前が変わったため「さまぁ~ず」のほうが認知度は高いが、不本意な名前だったというのは驚きだ。
ただ結果論になってしまうが、いまとなっては“バカルディ”より“さまぁ~ず”のほうが2人の雰囲気にはしっくり来ているように思う。「バカルディ」といえば有名な蒸留酒の名前が思い浮かぶだけに、ちょっと硬派な印象が先に来るからだ。2人のゆる~い空気感とのギャップも面白いが、やはり「さまぁ~ず」は“名は体を表す”の好例といえるだろう。
コンビ名にもにじみ出ることになった同コンビの“リラックス感”。その源泉は、高校から続く三村&大竹の仲の良さにある。業界関係者から寄せられるエピソードは、いまでも楽屋は同室、移動の新幹線も隣の席に座る、飲みの席でもいつの間にか2人が並んでいる…などなど、エピソードに枚挙に暇がない。
過去にはそうしたコンビの距離感について、「友達がたまたま同じ仕事をしてるだけ」とも語っていたさまぁ~ずの2人。コンビといえど、むしろいつでも2人セットのコンビだからこそ、長年同じ時間を過ごすうちに険悪な仲になることは多い。緊張感を持って仕事をしていれば、どこかで摩擦が起きるタイミングがあるのは自然な話だ。
しかし「コンビ=友達同士」というスタイルのさまぁ~ずにとって、そうした摩擦がいつまでも尾を引くことはない。芸能界には仕事ではなく「遊びで入ってきてる(笑)」と臆面もなく豪語するだけあって、芸歴36年を経てもまだ同業が驚く仲良しっぷり。そしてそんなさまぁ~ずの特徴が、すなわち彼らが長く愛される秘訣でもある。
プロとして“お笑い”を成立させるには、話すスピードや“間”を見極めるといったさまざまなスキルが必要だ。だがそうした技術は流行り廃り、見る側の感覚などによって淘汰されてしまうもの。しかし緊張感なく“友達がバカなことをしている姿”を見るようなゆるい空気感は、どんな世代もクスッとさせられるパワーを持つ。
さまぁ~ずのゆるさや自然体な芸風から伝わるリラックス感、見る側にも波及する脱力感は、忙しい現代においては大きな価値を持つ。さまぁ~ずが長く国民的人気を誇る理由を挙げるとすれば、“面白い友達のバカを見るような空気感”をおいて他にないだろう。
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