――お2人が本作でこだわった点や印象に残っているシーンを教えてください。
赤楚:“出力”ですかね。基本的に感情をこらえていて、溢れるものに蓋をしているような役だったので、その出力をどう出すか、監督とずっと話し合っていました。そしてその後で、いかに引き算をしていくか。自分が気持ち良くなっちゃうような芝居にせず、台本を見て、全体を見て、「湊は何を思っているんだろう」という塩梅を、相談しながら演じました。
上白石:2時間くらいの作品の中に20年分の時間が流れていて、“学生”、“仕事を探す20代前半”、“母”と3世代の美海を演じる上で、「今の湊と美海の間にはどういう空気が流れているんだろう」と確かめ合いながらの撮影は、すごく繊細で大変な作業でした。私は、赤楚さんを見て、その時々の美海の年齢を測るようなところがあって。撮影が時間の流れ通りではなかったので、自分の装いや環境を感じて、ちゃんとそのシーンごとに生きるということを心掛けていました。
――うるう年の2月29日はこの作品の中で特別な1日でしたが、お2人にとって1年の中で特別な日はありますか。
上白石:私が以前住んでいたメキシコに、死者の日という文化があったんです。日本でいうお盆に近いんですが、11月の頭に亡くなった人が帰ってくると言われていて、街がマリーゴールドでいっぱいになるんです。だけど悲しい雰囲気じゃなくて、骸骨にデコレーションをしたりして、すごくハッピーなんですよ。それは日本にいても思い出しますね。
赤楚:僕は12月31日が1番好きなんですよね。今年が終わるぞ、と。未来への希望もあったりするし、何より休みですし(笑)。夜の静けさとかでしんとした気持ちになって、自分と向き合える時間にもなっています。すごく高尚な感じがして、好きです。
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