第31回ヤングシナリオ大賞作品で、CM撮影現場で次々と巻き起こるハプニングを描く。おしゃれなCMを作ろうと燃えるクリエイティブディレクター・新倉(赤楚)が、クライアント・タレント・監督・プロデューサー、4者の事情をまとめようとするも、上手くいかずに撮影が中止になりそうな絶体絶命の状況を招いてしまう。
4者の間で板挟みになって困り果てる赤楚の姿が実に良い。刺さる。「赤楚のための役」と言っても過言ではないほどピッタリなのだ。クライアントから現場で急な修正に次ぐ修正が入り、CMはどんどん最初のコンテとは別のものになっていく。新倉らが目指していたおしゃれとはほど遠いものになり、現場の雰囲気は最悪に。右往左往する赤楚はとても可哀想だが、果てしなく可愛い。いつまでも見ていられる愛おしさだ。
一見わがままなクライアントに見えるが、言っていることは完全に否定はできない。一理あるからこそ、新倉は反発もできずに頭を抱える。この胃がキリキリするような状況は、多くの社会人に刺さり、共感できるのではないだろうか。たった1時間弱の間に新倉は原点に立ち返り、大切なことに気付き、そして成長するのだが、見ている方もまたハッとさせられることだろう。どこか頼りなかった新倉が吹っ切れたとき、急に晴れやかにたくましくなる、その赤楚の表情の変化も必見だ。
そのほか、万丈龍我/仮面ライダークローズ役でその名をお茶の間に広めた「仮面ライダービルド」最終回のその後を描いた映画「ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ」(2019年)や、「仮面ライダービルド」完全オリジナルストーリーを照明や音響、特殊効果などステージならではの演出と迫力のアクションでおくるSPショー&SPトーク「仮面ライダービルド スペシャルイベント」(2018年)も放送される。この機会にぜひ、いろんな愛らしい赤楚の姿を堪能してみてはいかがだろうか。
構成・文=戸塚安友奈
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