――杏さん、長谷川博己さん主演のラブコメディー「デート~恋とはどんなものかしら~」も、熱烈なファンが多く、今なお続編を待ち望む声も多いようですが。
「『デート』は、“恋愛ドラマはもうウケない”と言われる昨今の風潮に対して、そうじゃないことを証明したくて挑んだ作品で。ところが、実際にそれを証明したのは『逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)』(2016年TBS系)だったという…そこはちょっと悔しかったですね(笑)。僕は下地を作っただけか、みたいな感じで。でも、杏ちゃんも長谷川さんもみんな素敵でしたし、とても思い入れのある作品です」
――古沢さんは、コメディーの作家としても高く評価されています。映画「ミックス。」も爆笑シーンが満載ですが、そんな古沢さんの笑いのセンスを培ったものは?
「子供のころにドリフ(ザ・ドリフターズ)が好きだったり、学生時代に落語が好きでよく聞いたりしていたくらいで、決してコメディーが得意だという自覚はなかったんですよ。でも、いざコメディータッチのものを書いてみたら、意外にもみんな喜んでくれた、という感じで。ただ、今振り返ってみると、倉本聰さんのテレビドラマから受けた影響は大きいかもしれません。倉本さんの書くコメディーって、別にふざけたセリフとかギャグっぽいことをやるわけじゃなくて。作品世界の中で生きている人たちのペーソスというか、登場人物の一生懸命に生きている姿が、客観的に見てみると滑稽に見える、という人情喜劇なんですよね。先日まで放送されていた『やすらぎの郷』(2017年4~9月テレビ朝日系)が久しぶりにそういうテイストで、夢中で見てたんですけど」
――ファンとしては、ゆくゆくは「やすらぎの郷」のような帯ドラマや、NHKの朝ドラや大河ドラマといった大作を古沢さんに手掛けていただきたいなと勝手に夢想してしまうのですが…。
「(笑)。もちろんやってみたいですけど、その前に、自分のやりたいことや計画があるので、それをひとつひとつ出していくことの方が大事かなと」
――その「計画」は、具体的にはまだ教えられない?
「そうですね(笑)。ひとつ言えるのは、日本だけじゃなく、世界中の人たちが見るようなものを作りたいな、という気持ちはあります」
――世界を意識すると、作り方も変わってくるのでしょうか?
「逆に、日本について、より深く考えるようになりますよね。全人類が分かることをベースにしながらも、あえて日本的なことをやるというのも面白いんじゃないか、とか。でも、一番違うのは“ワクワク”の大きさじゃないですかね。だって、日本の中で視聴率がどうこう言ってるより、世界中の人たちに向けて作る方が、よほど夢のある話だと思いません?(笑)」
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