“T部長”土屋敏男×三宅“デタガリ”恵介!欽ちゃんを語る

2017/10/18 20:05 配信

映画

“T部長”土屋敏男監督と三宅“デタガリ”恵介氏、日本テレビとフジテレビの名ディレクターが共演(C)2017日本テレビ放送網

“視聴率100%男”萩本欽一、最初で最後のドキュメンタリー映画「We Love Television?」(11月3日公開)の試写会が行われ、土屋敏男監督とフジテレビ往年の名ディレクターの三宅恵介氏がスペシャル対談イベントに登壇した。

三宅氏は「欽ちゃんのドンとやってみよう!」(1975年4月-1980年3月、フジテレビ系)のスタッフとして参加。その後、「オレたちひょうきん族」「ライオンのごきげんよう」「あっぱれさんま大先生」「平成教育テレビ」など多くのバラエティー番組を製作し、フジテレビの黄金期を築き上げた。

視聴率30%番組を連発した萩本の番組作りとは何だったのか。土屋監督と三宅氏が、「大将こと萩本欽一さんの魅力」「欽ちゃん流の視聴率はいかにしてあがるのか」をテーマについて語った。

三宅氏は「僕は40年近くやっていても、欽ちゃんが何言っているのかが半分もわからないんです。映画の中でも河本くんがけいこ場で『もっと平たく言って』とか『その後足して』とか言われているでしょう。正解は大将の頭の中にしかないので、スタッフの僕たちも何をやりたいのかがわからないんです」と語る。

土屋監督は「それは“意味が分からなくてもいいから、みんなそれぞれ全力でやれ”ということなんだと思うんです。出演者、スタッフ、みんなの全力が合わさって、視聴率30%という奇跡が起こるという。視聴率30%というのは、番組を超えて物語なんですよね。物語のない所に奇跡は起きないし、ドラマも起きないし、30%はない、と」という。

「映画の中に欽ちゃんの70歳の誕生日を収めた場面があるんですが、西山(浩司)さん1人だけが来て酒缶を置いていくんです。普通の人からしたら寂しい誕生日ですよね。でも、欽ちゃんからしたらプライベートが楽しくてどうするんだ、となるんです。プライベートで運を使ったら番組が成功しないと考え、それを実践しているんです。全てを捨てて、テレビや番組に捧げているところを見ると、あれには勝てないなと思います」と、萩本のストイックな姿勢について話した。

最後に、三宅氏が「テレビ制作に携わる若者にはこの作品をぜひ見てほしいです。この映画で皆さんが思わず笑ったシーンは、リハーサル中のドキュメント的な笑いです。計算できないから笑ってしまうんです。そして劇中で欽ちゃんが言う『台本を面白くしちゃ駄目』という言葉。テレビの面白さは、作家と演者とディレクターの1+1+1が5になったり、10になったりするチームプレーの奇跡なんです。バラエティー番組は、完成させてはいけないんです。この映画を見て、大将に実際に会って話しているときのエネルギーをもらう感じを味わってほしいですね」と締めくくった。