これまで数多くの話題作を世に送り出してきたテレビ朝日の“金曜ナイトドラマ”。10月20日には、主人公が事件の重要参考人であり、探偵として事件を解決するという異色の最新コメディーミステリー「重要参考人探偵」(毎週金曜夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)がスタートした。
てっきりキラキラ系出演者たちが織り成す、“女子受け”志向の作品かと思っていたが、これまで個性豊かなキャラクターがメインを張るミステリー作品を数多く放送してきた“金曜ナイトドラマ枠”の作品らしく、いい意味で一筋縄ではいかないドラマになっている。
金曜ナイトドラマ枠といえば、かつて「TRICK」(2000年ほか)や、「時効警察」(2006年)など、何ならコメディー寄りにしなくても十分本格ミステリーとして成立する作品があった。
最近では「民王」などコメディー寄りに振り切ったヒット作はあったにせよ、どちらかといえば「奪い愛、冬」(2017年)だったり、「不機嫌な果実」(2016年)だったり、さらに言えば「セカンド・ラブ」(2015年)だったり、時代の流れなのかドロドロ系や“激愛系”の作品が話題を呼んでいる印象だ。
それも不思議なもので、ずば抜けて視聴率がいいというわけではないにもかかわらず、ツッコミどころ満載な内容で、ある種のトレンドを作ってきた。
昨年末に始動した「視聴熱」という独自の指標が放送当時からあれば、間違いなく「セカンド・ラブ」や「不機嫌な果実」あたりは、毎週上位をにぎわせていただろう。
前置きが長くなったが、今回の「重要参考人探偵」は金曜ナイト枠としては久々に、推理の妙を楽しんだり、お気に入りのキャラにツッコんだり、ちりばめられた小ネタを探したり、“本格志向のミステリー×ゆるふわコメディー”が融合した、ノリのいい作品になっている。
キャストの華やかさもあるにせよ、金曜の夜に重苦しくなく、明るく見やすいタッチ。そして随所にちりばめられた小ネタに加え、謎解きの部分も単純明快ではなく、しっかりと作り込まれており、ミステリー好きも満足できるはずのストーリーが展開されている。
また、シャンデリアが落下するという、「オペラ座の怪人」をほうふつとさせる派手な演出、かと思えば現代のサラリーマン社会にありがちなハラスメントであったり、悲哀、嫉妬であったり、そういった身近なテーマも織り込まれ、緩急がついた作風で、気が付くと画面に引き寄せられる系のドラマとなっている。
そういえば小ネタではないが、“金ナイ・コメミス”の先輩「時効警察」ではトレンチコートが似合う“刑事課のエース(?)”を演じていた豊原功補が、本作では今のところユルさのかけらもないコワモテ刑事役を担っている。
さらに、その「時効警察」を生み出した監督の1人である、塚本連平監督が本作ではチーフ監督としてメガホンをとっているのも見逃せない。
2ndシーズンとなる「帰ってきた時効警察」(2007年)終了からちょうど10年。伝説のコメディーミステリーの系譜を継ぐ「重要参考人探偵」が、次なる金曜ナイトの定番コメディーミステリーとして、これから花開くことに期待したい。
1話が終わった段階ではまだ何とも言えないところだが、少なくともその可能性は秘めていることだけは伝えておきたい。
そんな「重要参考人探偵」の第2話では、ある国民的女優の相手役を懸けたCMオーディションで事件が発生する。過去の事件とのつながりが見えてきたところから事件は急展開していく。
涙を誘う志田未来のラストの芝居にも注目しておきたいところだ。
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