【テレビの開拓者たち / 横井雄一郎】「クレイジージャーニー」演出家が画策中の新企画とは…?

2017/10/29 10:00 配信

芸能一般

藤井健太郎さんを見て、「あっ、こんなに自由にやっていいんだ」と(笑)


ダウンタウン出演番組だけでなく、「サカスさん」(2009年)、「内村とザワつく夜」(2013~2014年)などお笑い系のバラエティーを多数手掛けてきたTBSディレクター・横井雄一郎氏


――これまでのキャリアで、ターニングポイントとなった番組はありますか?

「『水曜日のダウンタウン』で、僕の一つ上の先輩の藤井健太郎さんと一緒に仕事をしたことは、僕にとってはかなり大きな転機でしたね。藤井さんとは元々、食事なんかは一緒に行ったりしてたんですが、仕事をするのは初めてで。そこで藤井さんの番組の作り方を目の当たりにしたときに、とにかく彼自身が楽しんでいるのが伝わってきて、『あっ、こんなに自由にやっていいんだ』と思ったんですよね(笑)。というか、バラエティー番組を作るときに、ここまで作り手の“好きなこと”を前面に出してもいいんだと教えられたような気がして。それ以来、番組作りの意識は間違いなく変わりました。僕は器用ではないので、“本当に自分が好きなこと”をうまく生かして、自分が視聴者として見たいと思えるような番組を作りたいなと」

――藤井さんや横井さんは、90年代後半から「学校へ行こう!」や「ガチンコ!」(1999~2003年)といったヒット番組を立ち上げ、“バラエティーのTBS”の時代を築いた元プロデューサー・合田隆信さんの“合田イズム”の継承者として紹介されることも多いですよね。横井さんご自身にも“合田イズム”を受け継いでいるという自覚はあるのでしょうか?

「もちろんありますよ。僕がバラエティー班に来たときは、合田さんは編成部に移っていたので直接仕事をしたことはないんですが、企画書がなかなか通らなくてうまくいかない時期に、『お前が好きなことをもう一度冷静に突き詰めて考えてみろ』って言ってくれたのが合田さんだったんです。僕が作った『クレイジージャーニー』の企画書を見て、これは面白いと最初に動いてくれたのも合田さんですし。合田さんがよく言うのは、幅広い層に支持されて高い視聴率を獲る番組は当然大事だけど、個性的で熱量があって、深く刺さるような番組も大事なんだと。その考えがあるから、僕ら現場の人間も頑張りがいがあるというか。高視聴率番組の『ぴったんこカン・カン』と分け隔てなく、『水曜日のダウンタウン』や『クレイジージャーニー』もちゃんと評価してくれるので、藤井さんも僕も、おのずとテンションが上がるし、その恩に報いたいという気持ちになる。そういう空気があるからこそ、TBSならではのバラエティーがいくつも生まれているんだと思います」

――では、横井さん企画の初レギュラー番組「クレイジージャーニー」について。これはやはり、松本人志さんと番組をやりたいというところから企画された番組なのでしょうか。

「ずっと松本さんの番組を考えてて企画を出しまくっていた中で、たまたま形になったのが『クレイジージャーニー』だったんですよ。僕は昔から旅行が好きで、いろんな国の文化の違いを楽しむような企画も考えたんですけど、松本さんは飛行機とかの長時間移動があんまり好きではないらしい、という話を聞いて。そこで、僕らが各国のディープな場所にロケに行って、そのVTRを松本さんに見せるのはどうだろうと思い付いたんです。松本さんが世界の現実を見たときに、絶対に面白い反応をしてくれるに違いない、と。そんな自分が好きなものを掛け合わせて生まれたのがこの番組です」