超特急タカシと俳優・松尾太陽は「全然違う」

2017/11/08 22:56 配信

ドラマ

メインダンサー&バックボーカルグループ・超特急のタカシとしても活躍する松尾太陽。この秋dTV、FODで配信中のドラマ「花にけだもの」、そして、11月11日(土)から公開する映画「一礼して、キス」に出演、と作品が目白押しだ。そんな松尾の俳優、そして超特急としての活動について話を聞いた。

撮影●諸井純二


自分にとって理想的な人物を演じる


――dTV、FODで配信中のドラマ「花にけだもの」に出演中。人気の少女漫画が原作になっていますが、最初に台本を読んだ感想を聞かせてください。

松尾太陽(以下、松尾):胸キュンするシーンって徐々に出てくるものなのかと思ってたんですけど、原作に忠実に再現されている部分があったり、1話から胸キュンシーンがたくさんあるんです。これがあと9話分あるとしたら、“世間の人の心臓もつのかな⁉”と(笑)。僕自身も「どんな映像になるんだろう?」と妄想が膨らんだりして、読んでいて楽しかったです。

――松尾さんの役は、ヒロインの久実(中村ゆりか)に思いを寄せる“けだもの男子”千隼。“けだもの男子”とは強引で男らしいイケメンとのことですが、千隼をどのようにとらえていますか?

松尾:千隼は、一見クールで何を考えているか分からないんですけど、久実のことが放っておけなくて、彼女のことをすごく思っているんです。クールで思いやりがあって…と、カッコいい面をたくさん持っているので、すごく自分にとって理想的な人物でもあります。

――千隼を演じる上で心がけていることを教えてください。

松尾:愛情の裏返しというか、口にする言葉はきつく聞こえるかもしれないけど、素直に言えないだけで、本当は久実を思っているんだよ、っていうことを伝えたいなと思っていて。セリフも、言い方が違うだけで怖い人という印象になってしまうかもしれないので。あとは、キャストの皆さんとの掛け合いの中で、自分がどれだけ千隼でいられるかを大事にしています。演じるというよりも、“千隼として生きる”という感覚でいたいです。

撮影●諸井純二


少女漫画のシチュエーションに共感するように


――同じく少女漫画原作の映画「一礼して、キス」(11月11日(土)公開)にも出演されています。この現場ではどのようなことを感じましたか?

松尾:自分がこうやってみようと思ったことをやらせていただける現場でした。古澤(健)監督は、僕が持ってきたお芝居を見た上で「次はこういうことをやってみようかな」と、思ってもいなかった引き出しを引っ張り出してくれる方で。僕は由木という高校生を演じたんですけど、監督の言う通りに演じると、また新しい由木と出会えるような不思議な感じがあって、それがすごく楽しかったです。

――少女漫画原作の作品に出演して、少女漫画のイメージや読み方は変わりましたか?

松尾:少女漫画では「こんなことがあればいいのに」って女性が憧れる場面があると思うんです。現実的に考えると「普通の男性はこんなこと言うかな?」と感じるようなこともある気がします。でも、演じる立場としては、最初から「これは現実には言わないセリフだ」と決めつけるんじゃなくて「なんでこういう風に言うんだろう?」って考えると、相手に好意を持っているからこそ出る言葉だったり行動であって、演じていてもそういうセリフが自然と溢れ出たりするんです。自分が演じるようになってから、少女漫画のシチュエーションに「こういうアプローチもアリなんだな」って、感じるようになりました。

撮影●諸井純二


超特急タカシと俳優・松尾太陽は「全然違う」


――超特急のメンバーでもある松尾さん。ドラマ、映画への出演が続いていますが、演技の仕事についてどう考えていますか?

松尾:ゴールがないエンターテインメントだと思います。人によっては何通りもできるし、正解がないし。正解が分からないからこそ、追求できる部分もあるのかなって。自分次第でどうにでもなるものなんだと最近、本当に感じていて。同年代の方と共演させてもらって、自分ももっとお芝居をやりたい、もっと追求したいという気持ちになっています。

――超特急の活動と俳優としての活動では、心構えが違ってきますか?

松尾:全然違います。超特急タカシの気持ちで松尾太陽の仕事に行くと、絶対にうまくいかないなって「花にけだもの」の現場で気付いた部分があって。僕には別の名義があって、超特急の方でも頑張っていけるから…なんて思いながら俳優をやるのは違うし、俳優一本でやっている方にも失礼ですし。だから、お芝居の仕事では松尾太陽という俳優の気持ちで、超特急のときはアーティストとして、どちらも頑張っていきたいです。二足の草鞋を履くというか、松尾太陽と超特急タカシで名義を変えて活動するのは意味があるんだなと思っています。

撮影●諸井純二


将来の目標は、大きく持っていたい


――お芝居での経験が歌うことに影響を与えたりはしないのでしょうか?

松尾:感情移入するとか、表現という面では、演技の経験はすごく役に立つんですよ。ただ、だからといって、すべて重ねてできるものではないんだなって。そこのさじ加減が難しい気がしています。

――松尾さんの中で、その配分が少し分かってきたところ?

松尾:はい、本当にちょっとずつですけど。これから少しずつ理解していきたいと思ってます。

――松尾太陽としての目標、超特急タカシとしての目標をそれぞれ聞かせてください。

松尾:松尾太陽としての目標は、飾らない、自然体の俳優を目指しています。あとは、世間に認めてもらえる人間にもなりたくて。大きなことを言うようですけど(笑)、目標は大きい方が、やりがいがあるので。超特急タカシとしては「超特急のボーカルってすごいよね!」って言われるようになりたい。最近はダンスをやらせていただく機会も多いので、歌とダンス、どっちもできるカッコよさを全面的に押し出していけたらと思っています。

取材・文=伊沢晶子