「この声をきみに」柴田恭兵の語る朗読、舞台、そして人生の変え方とは

2017/11/08 05:00 配信

ドラマ インタビュー

NHK総合で放送中の「この声をきみに」(毎週金曜夜10:00-10:50)は、朗読教室が舞台のヒューマンコメディー。大学で数学を教えているさえない准教授・主人公の孝(竹野内豊)が、ある日、朗読教室「灯火親(とうかしたしむ)」の生徒となり、講師の京子(麻生久美子)や、同じ教室の個性的な生徒たちとの出会いで人生を変えていく。

今回、孝を教室に迎え入れた「灯火親」の主宰者・佐久良を演じている柴田恭兵にインタビューを行い、役作りについてや、現場の様子などを語ってもらった。

「この声をきみに」で心優しい朗読教室の先生を好演中の柴田恭兵(C)NHK


「ひげ、いいと思います」と言われました


――佐久良を演じる上で気を付けたのはどんなところですか?

生徒さんの詩に対するそれぞれの思いを、真っすぐに受け止めてあげるということですね。同じ文章でも人によって捉え方が違うと思いますので、そういう思いをいつもニュートラルに、温かい気持ちで受け止めて接するということを心掛けていました。

――ドラマへの反響はありましたか?

「ひげ、いいと思います」ということは言われましたね(笑)。

今まであんまりひげを生やす役はやったことがなかったんですけど、僕がひげを生やして現場に行って、「こんな感じでやりたいんですけど」と監督に言ったら、「いいんじゃないですか」と言ってくださったんです。

――主演の竹野内さんの声についてはどう思われますか?

もちろんとても渋くていい声で、色っぽかったです。顔を見ただけでその人の声が浮かぶということは大事だと僕は思うんですけれど、竹野内君もそういうすてきな声を持っていますよね。

――ご自身の声について、どう思われますか?

若い時に、舞台の稽古で叫んだり、怒鳴ったりして喉がまずつぶれたんですよ。一回喉がつぶれてから、だんだん丈夫になって僕はこういう声になってしまったと思うんですけど、自分の声がいいのか悪いのか分からないです。

――出演者の中でも舞台経験がある方もいらっしゃいますよね。舞台のお話は空き時間にもされるんですか?

そうですね、よくします。昔は、小さなワイヤレスマイクがなかったですから、ナチュラルな話し方だと、100~200人くらいが入る劇場の1番遠くの人まで声が届かなかったんですよ。

人が入ると音が吸収されますし。だから、ナチュラルだけど奥の人に届く話し方というのが難しかったんです。それに、10人の役者に対して5本しかマイクが用意されていないこともあって、コード付きのマイクを舞台上で受け渡しながらせりふを言ったりすることもありました。

そうすると、段取りを間違えてしまった時にもうコードが舞台上でぐちゃぐちゃになってしまって、身動きが取れなくなったりするんです。それで歌ったりダンスをしたりするから大変でしたね(笑)。その当時は、見ている人もこういうものだということで受け入れてくれていましたね。

でも今はマイクが発達したので、もっとリアリティーのある舞台ができると思います。

【写真を見る】孝(竹野内豊)を朗読教室に迎え入れた佐久良(柴田恭兵)(C)NHK


――現場で他にはどんなお話をしているんですか?

あえて距離をとっているというか…役柄も先生という立場なので、みんなの中でも先生というポジションで、ちょっと距離を置きつつ、日常的な何でもないお話をしています。

――第1話では、みんなの輪から少し離れて座っていた磯崎泰代(片桐はいり)さんに近づくシーンが、先生らしくてとてもすてきでした。

あれが伝わっていたなら、良かったです。「磯崎さんと孝さんはちょっと似ている部分がありますよね?」っていう思いを込めて、彼女の肩をぽんぽんとしたんです。