間宮祥太朗が主演を務めた映画「全員死刑」が11月18日(土)から公開。演じたのは、家族の借金返済のため、歯止めのきかない連続殺人に狂い咲く首塚タカノリ。凶器に満ちた表情で殺人鬼を熱演した間宮に今作について聞いた。
――実際にあった強盗殺人死体遺棄事件の死刑囚の獄中手記をベースにした原作『我が一家全員死刑』をモチーフに映画化した作品です。間宮さんは殺人鬼役を演じていますが、今作のオファーを受けたときの率直な気持ちから教えて下さい。
小林勇貴監督から「これを映画にしたい」とお話をいただいたとき、そのビジョンと熱意に共鳴できるものがあったんです。なぜこの作品を撮ろうと思ったのかはもちろん、監督が抱えている世間への怒りなどを聞いて。これはエンターテイメントとして、やるべき作品だと思いましたし、ぜひ主演として立たせていただきたいと思いました。
――演じた首塚タカノリは、ヤクザ一家の次男役ということで、金髪にして上半身に龍の入れ墨を入れるなど、ビジュアルからワイルドに作り込んでいましたね。
雑誌のグラビアのために染めた金髪のままで本読みに行ったら、監督からは「髪はやっぱり黒がいいですね」と。でも、リハを続けるうちに「タカノリは金髪がいい。見えました!」とおっしゃっていただいて、金髪でやることになったんです。入れ墨(メーク)は、彫り師さんに鯉と龍を胸から両腕にかけて入れてもらったんですが、約3時間くらいかかりました。そのときいろいろお話を聞いたんですが、口を開けている龍と閉じている龍や指の数など、ひとつひとつに意味があるそうなんです。奥が深いですよね。迫力たっぷりの仕上がりになりました。
――タカノリは上納金が払えない両親のために殺人を繰り返していきますが、家族のためにそこまで自分を犠牲にするのは理解できましたか?
ヤクザ一家の次男に生まれてしまったというあきらめのような気持ちももちろんあると思うんですけど。単純に彼にとって、守るべきものが法律じゃなかった。自分が家族から頼られたことを何としてでもやらなくてはいけないっていう義務感があったんじゃないかなと思います。もちろん家族への愛はあったと思いますね。
――それはタカノリを演じた間宮さんだから理解できることかもしれませんね。バイオレンスシーンは、すごい迫力でしたが、殺人鬼役をやっている期間は、どんな感じでしたか?
資産家の息子役でタカノリに殺されるショウジ役の藤原季節にずっと言われましたよ。「祥太朗、ヤバイ顔してるよ!」って。完成した映画のポスターや作品を見て、「僕、こんなに黒目がちだったかな?」と自分でも驚きました。思いきり瞳孔が開いてる目をしていますからね。ポスターの方は、目を加工してくれたのかなと思っていたら、一切してないそうで。本当にちょっと怖い顔つきになっていたかもしれませんね(笑)。
――殺人を犯すシーンなど緊張感あるシーンの連続ですが、現場はどんな雰囲気でしたか?
父親で組長役の六平直政さん、ヒステリックな母親役の入絵加奈子さん、チンピラの兄のサトシ役の毎熊克哉さんがそろうとそれだけで雰囲気たっぷりなんですけど、とても和気あいあいとした現場でした。基本的に六平さんがムードメーカーでいろんな体験談とかを教えて下さって。ずっと「監督は天才だよ!」とおっしゃっていましたね。
――かなり衝撃的な描写もありますが、完成した作品を見て、今作の魅力はどんなところにあると感じましたか。
この作品で描かれているヤクザやチンピラは、こんなイメージだよなって再現したというより、本物に近い世界観で描かれているのが魅力だと思います。監督は実話をベースにした不良映画も過去に撮ってらっしゃるので、本物を見てきた監督だからこそのリアリティがあると思います。例えば、チンピラ映画の衣装だと開襟柄シャツがおなじみじゃないですか。でも、歌舞伎町とかにいる今どきのヤンチャな人たちってそんな柄シャツは意外と着てなくて。タカノリの服装もそんなに悪そうじゃなくて今っぽいんです。衣装合わせをしたときにすごいなと思いました。本当に細かいディティールまで現実味を帯びているので、楽しんでいただけると思います。
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