――以下、近藤真彦、服部宣之プロデューサーのコメント全文
――故・森繁久彌さんの印象は?
僕がお会いしたときはもう70~80代でいらしたので、“ワガママなおじいちゃん”という印象でした。とにかく1シーンを撮り終えるとティータイムが始まって、“お姉さん”たちが入って来てケーキを食べ、また1シーン終わるとティータイム、という繰り返しでした。
この作品でも、ドラマ撮影中の森繁さんがせりふを書いた紙を小道具に貼らせてもらうシーンがあったのですが、森繁さん、本当にあれをやられていました(笑)。…今、天国から森繁さんがこれを聞いていないとよいのですが…(笑)。
――森繁さんを演じるにあたって大切にしたことは?
さまざまな映画作品やDVDを拝見し、もちろん「徹子の部屋」第一回目の映像は数えきれないぐらい繰り返して見ました。知的で上品でいわゆる色気もあって、本当に魅力的!
でも、一番感じたのは“自然体”ということですね。お芝居をしていても自然体で、決して“作っていない”んです。その自然体が、見る人を感動させるのではないでしょうか。
今の若い世代に「森繁さんの映画を観てみたら」と言いたくなるぐらい、ユニークな作品が多かったですね。僕も最初は森繁さんのものまねをした方がよいのか、近藤真彦が演じる森繁久彌がよいのかいろいろ悩みましたが、その中間でうまく演じられた気がします。
――森繁さんとして「徹子の部屋」に出演された気持ちは?
普段、徹子さんの前だとそうはいかないのですが、ちょっと大きな態度で振る舞うことができましたね(笑)。つかの間でしたが、森繁さんの気分を味わうことができてうれしかったです。
「知床旅情」を歌うシーンも最初は悩みましたが、近藤真彦というよりも、きちんと森繁久彌として歌うことができたと思います。
――森繁さん役を演じることについて、黒柳さんの反応は?
徹子さんとは仕事で会うよりプライベートで会うことの方が多く、僕はしょっちゅう“リアル徹子の部屋”をやっている感じなので(笑)、改めて報告…、という雰囲気でもなく、しばらく出演のことは内緒にしていたんです。
あるとき、「実は僕、森繁さん役で『トットちゃん!』に出るんですよ」と言ったら、「エッ!」と驚いていらっしゃいました。でもそのあと、「もうあなたに任せたわ!」というお言葉をいただきました。
――「トットちゃん!」のみどころは?
黒柳さんがなぜあのような女性になったか、明確に伝わってくるドラマです。黒柳さんの人の良さ、そして“天然”なところは、ご覧になっていると元気が出るのでは…! 日本中にエネルギーをもたらすような作品に仕上がっていると思います。
――森繁久彌役の起用にあたって
40年以上続く「徹子の部屋」の第一回ゲストであり、徹子さんがNHK専属女優時代からの友人である森繁久彌さんは、今回のドラマで最も大切なキャストの1人です。
国民的俳優としての貫録と、それでいて偉ぶらないいたずら少年のようなちゃめっ気を持っている方、そして半世紀以上にわたる徹子さんとの信頼関係、そんなことをうまく表現できる方がいるのだろうかと考えていた時に、近藤真彦さんのお顔が浮かびました。
“スターの貫録”と“男が男に憧れるようなちゃめっ気”をお持ちで、何十年にもわたり徹子さんとの信頼関係がある。この3つの要素を近藤さん以上に満たす方がお見えになるのか…と。
ですが、もちろん簡単にオファーできるような方でもなく、私にとっては清水の舞台から飛び降りる覚悟でのお願いでした。
オファーを快諾いただけたときは本当にうれしく、私たちの知らない徹子さんの側面も勉強させていただきました。
収録現場でも、本当に気さくな方で、若手のキャストやスタッフにもお気遣いをいただきましたが、スタジオの扉から近藤さんが入られてきたときに、思わずみんなが振り返ってしまうオーラは、やはりスターの風格だなと改めて実感しました。
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