「ウリナリ!!」で見る者を圧倒した、芸能人の本気度【ザテレビジョン35周年特集】

2017/11/20 13:53 配信

バラエティー

「ウリナリ!!」の社交ダンス部企画が始動したばかりのショット(’96年9月13日号)

創刊35周年を迎えたザテレビジョンは、日本のテレビ史を見つめ続けてきた。過去の記事からピックアップして振り返る【ザテレビジョン35周年特集】で今回スポットを当てるのは、芸能人たちが、ある一定期間集中して努力する姿を描くドキュメンタリー色の強いバラエティー番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」(’96~02年、日本テレビ系)だ。

「努力すること」のカッコ良さを真っ向から描く挑戦企画


俳優、女優、アイドルに芸人、とテレビの中で華々しく活躍する人気者を見て「いいなぁ芸能人って」と思う人は多いだろう。しかしその見方をひっくり返すような番組がしばしばある。ひとつの目標を達成するために、芸能人たちの血のにじむような努力の日々を追いかける企画で、想像を絶するストイックさを見せる彼らに視聴者は驚かされる。素敵な衣装を身にまとって軽妙におしゃべりをするいつもの姿の裏に隠れた、努力家な一面に見入ってしまうのだ。

最近では、11月3日に「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(毎週金曜夜8.57、TBS系)で放送された、キンタロー。の社交ダンス世界選手権のような企画がそうである。世界トップ10入りを目指して社交ダンスの練習に明け暮れるキンタロー。が、見事、日本人過去最高位の7位入賞を果たし、感動を呼んだ

来年春に放送終了が決定した「めちゃ×2イケてるッ!」(毎週土曜夜7:57、フジ系)の、岡村隆史が超絶ダンスやスポーツに挑戦する「岡村オファーシリーズ」も20年間愛される名物企画だった。

90年代後半、視聴者は「ウリナリ!!」社交ダンス部に釘付けとなった


‘96年に始まった体当たり番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」(日本テレビ系)は、「芸能界サークル活動宣言」と題して「芸能人社交ダンス部」や「ドーバー海峡横断部」などの挑戦企画や、「ポケットビスケッツ」、「ブラックビスケッツ」などミリオン歌手ユニットを番組から生みだして一大ムーブメントを起こした。’96年9月13日号の本誌で掲載したのは、社交ダンスを始めて間もない内村光良南原清隆がアメリカ・ロサンゼルスの大会に参加する前に、壮行会を行ったときの様子。

コントのように見えるダンス写真だが、当人たちは本気も本気、相当熱の入った企画であり、内村はビビアン・スーと、南原は杉本彩とペアを組み、オリジナルダンスを披露した。日本アマチュアダンス協会認定の1級資格を持つ南原は「外国人にはキメ細やかさがないから、そこを出したい。アメリカでうまくいけば、次はヨーロッパです」と自信たっぷりに意気込む。いつだってお笑い要素を忘れない内村は「今の技はブラボー・ブルース・リー。ビビアンを持ち上げるとき、リーの顔をする技です」と飄々と踊るのだった。その後もコーナーは人気を誇り、特番が何度も放送された。

「ウリナリ!!」のような芸能人による挑戦企画は、バラエティー番組の人気コンテンツとして定着した。「世界の果てまでイッテQ!」(毎週日曜夜7.58、日本テレビ系)でのイモトアヤコ率いる登山部企画などはもちろん、勉強系では現在、「得する人損する人」(毎週木曜夜7.00、日本テレビ系)でオードリー・春日俊彰が東大合格を目指して猛勉強中である。

無謀と思えることに挑む姿は、見る者の心を動かす。人気者がその立ち位置にたどり着くまでどんな努力をしてきたかを実際に見られる機会は少ないが、このような挑戦企画を見るとやはり彼らが決して凡人ではないことが分かるだろう。

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