2012年11月14日にシングル「Sweet Pop!」でメジャーデビューしたSILENT SIRENも、今年でデビュー5周年という節目を迎えた。着実にステップアップを続けてきた彼女たちだが、特に今年はレーベル移籍もあり“変革のタイミング”に突入した印象もある。そんな時期に、すぅにこの5年での環境の変化、そして自身の考え方の変化と変わらないものについて語ってもらった。
──メジャーデビューしたての頃と比べて、マネージャーさんやレコード会社のスタッフさんなど、周りの人たちとの関わり方で変化したところはありますか?
音楽的な話をすごくしてくれるようになりましたね。自分たちもちょっとずつわかってきたし、以前はできなかったことも今ならできるようになったからこそ、「もっともっとこうしたほうがいいんじゃないか?」とか「他のバンド見た? あれ良かったから、サイサイもそういうふうにしてみたら」とか、特に楽器周りのチームは言ってくれることが多いですね。私はローディーさんやPAさんから、いろいろアドバイスをもらったりしてます。例えば、音色やテクニックの話とか、盛り上げ方の話とか。そういう意見をもらえると「ああ、サイサイのことをすごい考えてくれてるんだな」と実感しますね。
──なるほど。
そうやって私たちのことを好きでいてくれるチームとライブができていいなと思うのと同時に関わってくれてる人が他の現場に行って「サイサイをやってるんだ」と胸を張って言ってもらえるようなバンドになりたいなとも思っていて。どうせなら他のアーティストさんの現場よりうちらの現場のほうが楽しいと思ってもらいたい、みたいなヘンな独占欲があるんです(笑)。
──そういう意味では、昔と比べてバンドに関わる人も増えてますよね。
いやもう、完全に4人だけのものではないなって思いますし。例えば、スタッフさんもそうだし事務所もそうだし、お客さんもそうだし、そういう“チーム”のことも考えるようになりましたし、背負ってるなというのはあります。
──そうすることで、バンドを客観視する機会も増えると思いますし、このバンドをどうしたいかというセルフプロデュース目線も養われるんじゃないでしょうか。
確かに。関わる人が増えると、そのぶん入ってくる情報も多くなるので、それを取り入れたいと思うようになりますし。無駄なことがひとつもないという(笑)。
──実際、メジャーデビューからここまで5年、誰か著名なプロデューサーを付けることなく、すべて自分たちの力で音楽を作ってきたわけですし。
そうですね。私たちからしたら、それが普通のことだったので。いまだになんで「えーっ、自分たちでバンド組んだんだ?」って言われるのかもわからないし、普通のバンドマンが普通にバンドを組んで曲を作ってライブをしてるのと同じことをしてるだけなのになって、思うんですけどね。そうやって周りからは違って見られてるっていうことにびっくりです。うちら、「自分たちはモデルだぜ」とは1ミリも思ってないし、なんなら読者モデルでいただいた交通費やギャラをいつもスタジオ代や機材に充ててきたし、そういう当たり前のことを当たり前に続けてきただけですよ。
──自分たちがやりたいことを自分たちだけで続けていたら、気がついたら協力してくれる人がどんどん増えていったと。
そうですね。私、クボくん(サウンドプロデューサー・クボナオキ)を含めた5人……もともとクボくんもメンバーだったので、この5人という縄張り意識がすごく強くて。自分は音楽をソロでやりたかったわけでもなくて、バンドというものにすごく憧れていた。それで集まったメンバーだったので、その存在というものがすごく大事だったんですね。だから、前にメンバーが脱退するとき、私はそれすらもすごくイヤだったし、新しいメンバーなんて考えられなかった。それこそ「絶対にイヤだ!」って、マネージャーにも泣いて反抗しましたし。でも、自分が信じているメンバーが「良い子がいるから」といってゆかるんを連れてきてくれたときに、「私が信じるメンバーが信用する子なら、きっと大丈夫だ」と思って。実際すごいストイックだったし、そもそも初めてのバンド経験者だったのに突然メジャーデビューって相当の覚悟がないとダメだと思うんですね。そういうことを考えたときに、「逆にこの子、すげえパンクスなんじゃないか」と思って。
──そういうことがあったんですね。
はい。で、クボくんも相変わらず曲を作ってたんですけど、マネージャーに「クボくんの曲作りのペースだと遅いし、新しい道が開けてこないから、作家さんにも曲を書いてもらおう」という話が出て。私はそれもすごいイヤだったんですよ。なんで自分たちだけで組んだバンドで、知らない人に曲を書いてもらわないといけないのって。そのときは「そんなのバンドじゃないじゃん、そんなのサイサイじゃないじゃん!」と思ったんです。それが何年か活動が続いたことで、あんなにイヤがっていた自分もちょっとずつ対応できるようになってきた。例えば、「Pandora」や「Love install」といった曲では編曲にメンバー以外の方が参加しているんですが、自分たちじゃ思い浮かばないアイデアがたくさん入っていて「なるほどな!」と思えたんです。
──それを受け入れられるだけの、気持ちの余裕が少しずつできてきたと。
そう。クボくんも「もっと俺、頑張んなきゃ」と思って、めっちゃ曲を書くんですよ、そういうときに。ウケるなと思いつつ(笑)。でも、それでいいと思うんです。チームを大事にしつつ、作曲も私やメンバーでもしたいなと思うし、どんどんそういうところで成長していかなくちゃいけないなと思いますね。それが次のステップかな。
撮影 / ハタサトシ、キセキミチコ 取材・文 / 西廣智一
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