【テレビの開拓者たち / 福岡元啓】「情熱大陸」5代目プロデューサーが語る番組作りの極意と“贈る言葉”

2017/12/10 10:00 配信

芸能一般

「情熱大陸20年記念スペシャル」は僕自身の7年間の集大成にもしたい


12月17日(日)放送の「情熱大陸20年記念スペシャル」(TBS系)では、プラントハンター・西畠清順氏の“世界一のクリスマスツリー”を作り上げるプロジェクトに密着する©そら植物園


──芸能界では、「情熱大陸」の取材を受けることが売れっ子の証、と考えている方も多いと思うんですが(笑)、人選に関しては、基準などはあるのでしょうか?

「“今輝いている人”を選ぶのはもちろんですが、それが絶対条件ではありません。時代とのタイミングもありますね。つまり、時代のメッセージを、その人を通じて発信できるかどうか。そこはすごく考えます。“輝いている人”というのも、言葉通りに、万人が認めるような完璧な輝き方をしている人だけでなく、世の中にはこんな輝きを放っている人もいるんだ、という打ち出し方もありますし。例えるなら、最も効率よく輝きが出るように計算してカットされているダイヤモンドも、違う切り方をしたって、また別の素敵な輝き方をすることもあるんじゃないか、という(笑)。そういう意欲的な回が、思わぬ反響をいただくと、僕らスタッフとしては非常にうれしいですね。今年ご紹介したテキスタル・デザイナーの森本喜久男さん(2017年4月9日放送)は、まさにそういう感じで、本当にたくさんの反響をいただいたんですよ。放送から3ヵ月後にお亡くなりになってしまったんですが、生前の姿をご紹介できて本当によかったなと思いますね」

──その「情熱大陸」が2018年の春に放送20年を迎えます。12月17日(日)には、20年記念スペシャルが放送されますね。

「プロデューサーとして着任して初めて僕が通した企画が、プラントハンターの西畠清順さんの回なんですが、今回のスペシャルは、その西畠さんが世界一大きなクリスマスツリーを立てるイベントを企画している、という話を聞いたのが始まりなんですよ。あすなろの木を使ったツリーということで、“明日も頑張ろう”という番組のメッセージとも合っていますし、番組の顔である葉加瀬太郎さんも放送当日、オープニング曲とエンディング曲を生演奏してくださることも決まって。『情熱大陸』の20年を記念するにふさわしい放送になるんじゃないかと思いますし、僕自身にとっても、これまでプロデューサーを務めてきた7年間の集大成にもしたいなと。西畠さんで始まり、西畠さんで終わるという、幸福な締め括り方ができてうれしいですね」

――福岡さんは、このスペシャルを機に番組を離れ、新規事業の立ち上げに携わるということですが、これからの「情熱大陸」を担うスタッフの方々に、どんなことを期待しますか?

「報道局の時代に同じ釜の飯を食った後輩が次のプロデューサーをやってくれるんですが、僕が作ってきたのとは違う、新しい視点を持った『情熱大陸』を作っていってほしいと思います。まずは、2020年の東京オリンピックを意識した企画をやってほしいですね。やはり日本中が熱狂するであろう一大イベントですから、そこにどうアプローチするかというのは、スタッフの腕の見せどころだと思うんですよ。もちろん僕もこれからは、『情熱大陸』で培った経験をもとに、新規事業の立ち上げに向けてステップアップしていきたいと思っています」

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