――舞台の話に戻りまして、“文スト”ならではといったところで“異能力バトル”が一つの見所になってくると思いますが、舞台ではどのように表現されるのでしょうか。
鳥越「見ていただいたら分かると思います! 演劇ならではという表現を使うところは使って、“ドッグスチーム”と呼んでいるアンサンブルの方たちがいろいろな表現をしてくれています。本当に大変だと思う。異能力の表現やシーンの切り替えなど、演劇らしい演出になっていると思います」
植田「原作を知っている方からすると、“あのシーンはどうなるんだろう?”、“舞台でできるの?”というシーンがたくさんあると思う。そういう疑問をことごとく裏切っていくんじゃないかな。全体の表現の仕方として、“人間力”が詰まった中屋敷法仁ワールド。この作品を舞台でやるとなったとき、舞台に向いている作品って思ったのがそういうポイントなんですけど」
――舞台だからこそ見せられる演出、楽しみですね。そんな上演前にまだまだ気が早いですが、すでにシリーズ化に期待とのファンからの声もきこえてきますが…最初のキャストとして自らが役作りする上で意識したことは。
鳥越「自分なりに寄り添って、カンパニーの中で作品の中で自分の位置を決めて丁寧に作れたらとはいつも思っています。自分なりの敦を作れたら」
植田「これまで出演した作品では誰かから役を引き継いだりする時もありました。自分はよく強気な発言をしてしまったりするけど、一貫して同じなのはいつも絶対に自分にしかできないと思っていたい、ということ。自分がやる意味を考えて、見た目も込みで、自分にしかできないと胸を張って原作チームに言えるように心の準備はしています」
――役を引き継いで演じるというお話が出ました。シリーズ作品を通して自身が役を卒業して誰かに引き継ぐとき、あるいは共演者にキャスト変更があったとき、正直なところどういう思いなのでしょうか。
鳥越「自分が替わったときも、仲間ではあるので公演を見に行ったり稽古場に顔を出したり。周りが替わっても替わった役者さんがいやすいようには絶対にしますけどね」
植田「冷静なことを言えば“仕事”なので、自分の気持ちだけで選べるものじゃないってのは分かっています。だからこそ続編で元のキャスト全員、もしくは8割でも集れたときって本当にすごいことだと思います。続編をやれるってこともそうですけど。その8割に入ってくる新しい2割の人は、すごいプレッシャーや責任を持って、絶対超えようとしてくる。いい化学反応しか起きないに決まってるんですよね。新しく入ってくる人たちはウェルカムだし、続けられるならハッピーです」
――では、今作での中島敦・中原中也を自分が演じるからこそ、こう演じたいというこだわりや意気込みをお聞かせください。
鳥越「敦という役は、(他から受けての)リアクションが多い。今までいろいろなツッコミを経験してきた上で、敦のツッコミと鳥越裕貴のツッコミを融合しつつ、いいい空気に変わったらいいなと思います」
植田「中原中也のことをかわいいと思ったことは一度もない。なので、“チビカッコいい”の先駆者であり続けます。チビがかわいいと言われる時代を終わらせます。見る人が抱く印象だから結局なんでもいいんですけど、このキャラクターにかわいい要素なんてない。格好いいし、男だし、上司だし。生身の人間が演じることでその感覚が伝わるなら僕はそこを貫きたい。一つの流行りのように、チビカッコいいというジャンルを作りたいし、作れるキャラクターだと思います」
――それでは最後に、ファンへのメッセージをお願いします。
植田「演劇として『文豪ストレイドッグス』をやらせていただきます。キャラクターに負けないくらい、役者陣も超個性的。新しいお芝居の形を見せられるのではと思っています。鳥越座長の熱みたいなものは、彼を今までずっと見てきた方もきっと感じられると思います」
鳥越「『文豪ストレイドッグス』のファンの皆さんにもちゃんと愛されるように、チームも愛を持って作っています。舞台ならではの『文豪ストレイドッグス』をお楽しみいただければ。あと、“チビカッコいい”をぜひジャンルとして作っていただけるよう、植ちゃんにも頑張っていただいて(笑)。千穐楽は映画館でのライブビューイングもあって、3月3日(土)にはアニメ映画もあります。“文豪”の輪を広げましょう!」
【プロフィール】とりごえ・ゆうき=1991年3月31日生まれ、大阪府出身。舞台「イナズマイレブン」(半田真一)で初舞台。舞台や映像と幅広く活動している。主な出演作は「弱虫ペダル」(鳴子章吉)、ミュージカル「刀剣乱舞」(大和守安定)、「ハイスクール! 奇面組」(物星大)など。
うえだ・けいすけ=1989年9月5日生まれ、大阪府出身。第19回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」ファイナリストを経て、2007年に俳優デビュー。年間10本以上の舞台出演を続けており、代表作は、「弱虫ペダル」(真波山岳)、ミュージカル「ヘタリア」(日本)、「K」(八田美咲)、「おそ松さん on STAGE」(チョロ松)など。
小林裕美
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